2001 Fiscal Year Annual Research Report
超新星爆発イベントにおけるγプロセス元素合成パターンの研究
Project/Area Number |
13740165
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Numazu National College of Technology |
Principal Investigator |
住吉 光介 沼津工業高等専門学校, 教養科, 助教授 (30280720)
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Keywords | 流体力学 / 元素合成 / 重元素 / 核反応 / rプロセス / 一般相対論 / 宇宙観測 / 銀河 |
Research Abstract |
鉄よりも重い元素の起源とされるrプロセス元素合成(大量の中性子を高速に吸収する過程)が宇宙のどこで起きるのかは大きな謎とされてきた。ハッブル宇宙望遠鏡による最新の天体観測では非常に古い星にもrプロセスによる重元素が存在することが発見され、寿命の短い大質量星の生の最期におこる、超新星爆発でのrプロセスの理論的研究が急務となっている。このためには超新星の爆発メカニズムを解明すると共に、rプロセス元素合成量を明らかにして、その特徴を将来の天体観測と照らし合わせていく必要がある。 流体力学や核反応ネットワークの計算を組み合わせて、数値シミュレーションを行い、超新星爆発の各イベントにおいて作られるrプロセス元素合成量を定量的に求めて、その特徴を明らかにすることが研究の目的である。親星の質量の違いによる爆発メカニズムの違いに着目し、rプロセス元素合成パターンの特徴を明らかにするため、大質量星の中でも、比較的質量の小さい場合と大きい場合に分けて研究を進めてきた。 今年度の研究では、一般相対論的流体力学の計算コードを用いて、比較的質量の軽い親星の重力崩壊・爆発の数値シミュレーションを行い、放出物質が膨脹して冷える間に起こるrプロセスを元素合成ネットワークにより計算して、1イベントの超新星爆発で生成されるrプロセス元素の量を求めることに成功した。この結果、質量の軽い親星において、プロンプト爆発が起きればrプロセス元素合成が起こり、元素合成のパターンは太陽系組成比を再現するパターンであることを発見し、合成量も銀河に存在する量を説明できることを示した。これにより、非常に古い星におけるrプロセス重元素発見を説明する道筋をつけることが可能になったことと、星の爆発メカニズムと元素合成パターンが関連していることを新たに提唱することが出来た点で、宇宙物理学における重元素の進化の解明に大きく貢献できた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Terasawa, K.Sumiyoshi, T.Kajino, G.Mathews, I.Tanihata: "New nuclear reaction flow during r-process nucleosynthesis in supernovae : critical role of light neutron-rich nuclei"Astrophysical Journal. 562. 470-479 (2001)
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[Publications] K.Sumiyoshi, M.Terasawa G.J.Mathews, T.Kajino, et al.: "R-process in prompt supernova explosions revisited"Astrophysical Journal. 562. 880-886 (2001)
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[Publications] S.Sugimoto, K.Sumiyoshi, H.Toki: "Relativistic Hartree-Bogoliubov approach for nuclear matter with non-linear coupling terms"Physical. Review. C64. 054310 (2001)
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[Publications] K.Sumiyoshi, M.Terasawa, H.Suzuki, S.Yamada, H.Toki et al.: "Relativistic simulations of supernovae and the r-process : new relativistic EOS and new nuclear reaction network"Nuclear Physics. A688. 478-480 (2001)
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[Publications] H.Utsunomiya et al., K.Sumiyoshi: "Pholodisintegration of^9Be and the reaction rate for α(αn, γ)^9Be"Nuclear Physics. A688. 340-343 (2001)
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[Publications] M.Terasawa, K.Sumiyoshi, T.Kajino, I.Tanihata et al.: "New nuclear reaction flow during r-process nucleosynthesis in supernovae : the critical role of light neutron-rich nuclei"Nuclear Physics. A688. 581-583 (2001)