2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13740173
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
吉見 彰洋 理化学研究所, 応用原子核物理研究室, 基礎科学特別研究員 (40333314)
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Keywords | 核スピンメーザー / 希ガス元素^<129>Xe / 低周波発振 / 能動的フィードバック / 核スピン歳差 / 光ポンピング法 / 電気双極子モーメント / 核スピン偏極 |
Research Abstract |
この研究の目的は従来の核スピンメーザーでは発振不可能な低周波数領域において安定して動作する新しい型の核スピンメーザーを開発することであった。この装置は核スピン歳差周波数の高精度測定が要求される電気双極子モーメント探索実験なでへの応用にとって非常に重要なものである。本研究では希ガス元素^<129>Xeの核スピン歳差の観測をレーザーと光弾性変調器とを組み合わせて光学的に行い、その信号から核スピン歳差が緩和せずに保持されるような振動磁場を計算してスピン系に印可する方法を実現した。この帰還磁場を計算するフィードバック部分はロックイン検出器とアナログ演算回路で構成した。これにより従来型核スピンメーザーではNMRコイルで歳差検出、磁場帰還を行なっていたため発振できない低周波数領域(1kHz以下)においてスピンメーザーの発振に成功した。 本研究では静磁場28.3mGにおいて光ポンピングスピン交換法を用いて^<129>Xe原子核を偏極させて、上記のフィードバックシステムを導入して33.5Hzでスピン歳差を保持する^<129>Xe原子核の系を構築した。これは従来のスピンメーザーの発振周波数領域〜3kHzに比べて1/100である。この成功により発振周波数の不安定度が従来の1/100まで抑えることができ、10^4秒の連続観測で歳差周波数を1μHzの精度で決定できた。 次年度においては高精度磁力計の組み込みによる静磁場のさらなる安定度の向上を行い、^<129>Xeの低周波核スピンメーザーの歳差周波数をnHzの精度で決定することを目指す。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] A.Yoshimi, K.Asahi, K.Yogo, K.Sakai, H.Ogawa, T.Suzuki, M.Nagakura.: "Novel spin maser mechanism studied for high-precision measurement of neutron electric dipole moment"American Institute of Physics Conference Proceedings. 570. 353-357 (2001)
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[Publications] 吉見彰洋, 旭耕一郎, 酒井健二, 余語克紀, 小川博嗣, 長倉正樹, 鈴木孝幸: "核スピンメーザーの中性子への応用"京都大学原子炉実験所KUR Report. 67. 18-25 (2001)
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[Publications] A.Yoshimi, K.Asahi, T.Koike: "Continuous Spin Precession of Noble Gas Nuclei with Active Feedback System"RIKEN Accelerator Progress Report. 35. (2002)