2001 Fiscal Year Annual Research Report
密度行列繰り込み群による磁場中の二次元電子系の研究
Project/Area Number |
13740176
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴田 尚和 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (40302385)
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Keywords | 量子ホール系 / 密度行列繰り込み群 / 高次ランダウレベル / ストライプ / ウィグナー結晶 / 基底状態 / 相図 / 相転移 |
Research Abstract |
高次のランダウレベル(N=2)を占める二次元電子系の基底状態の相図を密度行列繰り込み群(DMRG)を用いて求めた。N>1の高次のランダウレベルにおいて、ストライプ相、バブル相と呼ばれるCDW状態の存在がKoulakovらのHartree-Fock計算によって1996年に指摘された。このCDW相の存在はその後実験的に異方的電気抵抗やリエントラント相の存在から支持され、最近では厳密対角化によっても確認された。しかしながら、このCDW相の詳細な性質や基底状態の相図に関してはHartree-Fock近似の限界や厳密対角化の有限サイズ効果などのために、理論的結論が得られていない状況であった。我々は、Hartree-Fock近似で無視される量子効果を正確に評価し、さらに厳密対角化の限界を越える大きな系を取り扱うために、量子一次元系に対する優れた数値計算法として知られているDMRGの方法をこの系に応用した。この方法では基底状態の精度をコントロールしながら系を大きくしていくことが可能であり、厳密対角化では調べることのできない大きな系の基底状態を高い精度で得ることができる。この方法を用いて基底状態の対相関関数を系統的に調べた結果、N=2のランダウレベルにおける基底状態の相図にはストライプ相、バブル相、Wigner結晶の三つのCDW相があり、それらの相の間の転移が一次転移であることがわかった。また、Hartree-Fock近似によるこれまでの計算法により得られる相図と比較すると3つの電子がクラスターを組む3電子バブル相が量子効果により不安定になっていることもわかり、このことは実験的にリエントラント相が1つだけ確認されていることと整合するとともに、2電子バブル相がリエントラント相であることを示している。
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Research Products
(1 results)