2001 Fiscal Year Annual Research Report
短周期平面超格子の量子ホール領域における伝導現象の研究
Project/Area Number |
13740177
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 彰 東京大学, 物性研究所, 助手 (20260515)
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Keywords | 平面超格子 / 量子ホール効果 / 磁気抵抗 / 2次元電子系 / 電荷密度波 / ストライプ / ランダウ準位 / GaAs |
Research Abstract |
研究の第一段階として、1次元平面超格子の量子ホール領域における抵抗異方性の測定に適した試料の開発作成を行った。従来の異方性測定は、電流方向と変調方向の異なる複数のホールバー形状の試料を作成し、その抵抗を比較することにより行われていた。この方法では厳密な同一条件下で電流の方向のみによる差異を測定することは困難であった。そこで今回は、一辺40μmの正方形試料に8本の測定端子を取り付けた周期α=92nmの平面超格子試料を作成し、電流、電圧端子を各2本ずつ選ぶことにより、一つの試料で異方性の測定が可能となるようにした。 この試料を用いて、充填率v=5/2付近において、顕著な抵抗異方性を新たに見出した。この異方性は非常に狭い磁場領域(幅0.O1 T程度)でのみ現れるが、温度に対しては比較的安定であることがわかった。また、赤外線の照射により電子濃度を変化させると、非常に狭い電子濃度領域(2.1〜2.3x10^<15>m^<-2>)でのみ観測された。さらに、この異方性は、磁場を傾けると、傾ける方位角に大きく依存した振る舞いをすることを見出した。これらは、第2ランダウ準位において、一次元電荷密度波(ストライプ)相が外部変調により安定化された結果であると考えられる。同様な異方性はv=25/2に至る、より高次のランダウ準位まで観測された。この結果は現在投稿準備中である。 また、その前段階として、正方形試料でどの程度、抵抗異方性が定量的に測定されるのかを確認するために、既知の抵抗異方性である整合性磁気抵抗振動を利用した抵抗異方性の測定を行った。その結果、測定される異方性は、試料の形状を考慮し理論的に計算される式で大変よく定量的に説明できることがわかった。この結果は現在投稿中である。
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