2001 Fiscal Year Annual Research Report
走査プローブ顕微鏡によるリラクサーヘテロ構造の研究
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13740184
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩田 真 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (40262886)
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Keywords | リラクサー / 強誘電体 / 構造相転移 / ヘテロ構造 / 酸化物 / AFM / 高誘電率 / ラマン散乱 |
Research Abstract |
リラクサ強誘電体は、相転移温度近傍における誘電率のピークがブロードで温度係数が小さい、誘電率が著しく大きい(ε〜10^4)等の特性から、温度変化に対して安定な高誘電率物質としてDRAMキャパシタ高誘電率薄膜等に応用されており、大変有用な強誘電体である。研究の目的は強誘電体薄膜素子に用いられる高誘電率物質リラクサ強誘電体における物性の解明、特に、高誘電率機構の解明である。そのために、本研究では走査プローブ顕微鏡によるリラクサーのヘテロ構造を観察している。 本年度は、リラクサ強誘電体の高誘電率発生の機構解明につながる知見を得ることを目的として、リラクサ強誘電体Pb(Zn_<1/3>Nb_<2/3>)O_3-PbTiO_3(PZN-PT)混晶のラマン散乱実験と電子線回折実験、及びPb(Mg_<1/3>Nb_<2/3>)O_3(PMN)の電気光学応答測定を行った。ラマン散乱測定の結果、PZN-PT混晶系の高温相におけるラマン活性モードが存在する温度-濃度領域が明らかにされた。高温相におけるラマン活性モードは、PT濃度約80mol%まで観測されることが実験的に示された。電子線回折実験の結果から、我々はリラクサにおけるラマン活性モードの起源はBサイトイオンの秩序構造によるものではないことを明らかにした。このことから、リラクサにおけるラマン活性モードは極性微小領域における強誘電相への局所的な対称性の低下が原因であることが示唆された。更に、PZN-PT混晶の低振動数領域のラマン散乱実験の結果、PZN-PT混晶系の低周波数モードはPTにおけるソフトモードと同一の起源のモードであることが結論できた。以上の実験結果を基にリラクサの高誘電率発生のメカニズムについて議論した。リラクサにおける高誘電率の起源は自発分極に垂直方向の不安定性にあることが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 岩田 真: "Raman Scattering in the Pb(Zn_<1/3>Nb_<2/3>)O_3-PbTiO_3 Mixed Crystal System II"Japanese Journal of Applied Physics. 40巻9B号. 5819-5822 (2001)
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[Publications] 大和英弘: "Raman Scattering in the Pb(Mg_<1/3>Nb_<2/3>)O_3-PbTiO_3 Mixed Crystal System"Journal of the Physical Society of Japan. 70巻10号. 3149-3154 (2002)
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[Publications] 岩田 真: "Theory of Morphotropic Phase Boundary in Solid Solution Systems of Perovskite-Type Oxide Ferroelectrics: Engineered Domain Configurations II"Japanese Journal of Applied Physics. 40巻2A号. 703-707 (2001)
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[Publications] 岩田 真: "A Theory of Polarization Reversals near the Morphotropic Phase Boundary of Perovskite-Type Oxide Ferroelectrics"Japanese Journal of Applied Physics. 40巻2A号. 708-712 (2001)
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[Publications] D.Ricinschi: "A Theory of Inhomogeneous Swiching in Perovskite-Type Ferroelectrics on the Tetragonal Side of The Morphotropic Phase Boundary"Japanese Journal of Applied Physics. 40巻8A号. 4990-4997 (2001)
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[Publications] M.H.Kuok: "Hypersonic Frequency and Damping Anomalies in Relaxor Ferroelectric Pb(Zn_<1/3>Nb_<2/3>)O_3"Applied Physics Letters. 78巻12号. 1727-1729 (2001)