2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13740187
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
稲垣 剛 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (10253139)
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Keywords | 光物性 / レーザー個体分光 / 電子相関 / 非線型光学応答 |
Research Abstract |
今年度、私は適応型の微分方程式を解くサブルーチンの開発を行った。 一般的に言って、相関の強い電子系では電荷の自由度とスピンの自由度が複雑に相互作用することによって系の物理的性質が決まると考えられている。従って本研究のように強相関電子系における時間に依存した現象を解析する場合、膨大な自由度に関する運動方程式を解かなくてはならない。しかし、従来から用いられている微分方程式を解くサブルーチンではアルゴリズムの効率・消費メモリーの観点から言って全く役に立たない。今回開発したサブルーチンの特徴は、メモリー消費を極限にまで押さえた事、Cash-Karp法とFehlberg法に基づくアルゴリズムを採用した事によってステップ幅を決定するためのオーバーヘッドが劇的に減少した事、及びMessage Passing Interfaceに基づいた並列プログラミングに対応している事である。 また、今回開発したサブルーチンのテストを兼ねて、励起子ポラリトン多体系における異常伝播現象の解析を行った。この現象は、強相関電子系同様、励起子の多体相関と巨視的量子コヒーレンスが重要な役割を演じていると考えられている現象である[H. Kondo et al.,Phys. Rev. B58,13835(1998)]。その結果、励起子ポラリトン間の非線型相互作用によって高密度状態ではコヒーレントな励起子ポラリトンの伝播が起こる事がわかった。この結果は実験結果を定性的にうまく説明している。また、サブルーチン開発の観点から言っても、この結果は今回私が開発したサブルーチンの有用性が示せたものと考えている。 更に私は、電子相関が重要な役割を演じる事が知られている、励起子多体系における非線型光学応答を電子相関と大きな量子ゆらぎの効果取り入れた計算によって解析を行い、実験との比較を行った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.J.Inagaki: "Propagation properties of high-density exciton polaritons"International Journal of Modern Physics B. 15. 4021-4024 (2001)
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[Publications] T.J.Inagaki: "Infrared absorption and reflection spectra of high-density electron-hole systems"Journal of Luminescence. 94-95. 533-536 (2001)
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[Publications] M.Ando: "Photoluminescence properties of highly-excited CdSe quantum dots"Journal of Luminescence. 94-95. 403-406 (2001)