2001 Fiscal Year Annual Research Report
フェルミ粒子凝縮体におけるスペクトラル・フローと位相欠陥の動力学
Project/Area Number |
13740196
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
林 正彦 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 講師 (60301040)
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Keywords | 超伝導 / 渦糸 / 電荷密度波 / 位相欠陥 |
Research Abstract |
本年度は,微視的なBogoliubov-de Gennes方程式に基づいて超伝導体、および電荷密度波中の渦糸の運動に関して解析を行った。超伝導体中の渦糸の運動におけるスペクトラル・フローの起源について、当初は不純物散乱が重要な寄与を与えるであろうとの予想の下に数値計算等を用いた研究を開始したが、考察を進めるうちに、実はスペクトラル・フローの起源はより本質的なところに存在することが明らかになってきた。すなわち、系の大局的な形状の効果が、渦糸の周りにできる超伝導電流の効果を通して、渦中心の位相に余分な位相の変化を及ぼすことが明らかになってきた。現時点では最終的な解決には至っていないが、これは大きな進歩と言える。以下、本年度中に具体的に明らかになったことを述べる。 ・2次元の超伝導体において、非圧縮完全流体とのアナロジーを用いて、渦が有限の系の中を運動するときに、系全体でどのような超伝導電流の変化が起きるかを調べた。この結果、渦糸の周りに出来る定常的な流れとしての超伝導電流にどの様なパターンが可能なのか明らかになった。 ・電荷密度波中の渦糸に関して、渦糸が伝導鎖に平行に運動する場合に格子系からうけるパイエルス・ポテンシャルの大きさを見積もった。この効果はスペクトラル・フロー現象と直接的な関係はないが、渦糸の滑り運動による電気伝導の大きさを決めるので、実際にスペクトラル・フローの効果を観測する際に重要となる。 以上の、研究は現在投稿中、または投稿準備中である。
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