2001 Fiscal Year Annual Research Report
層状有機物質における圧力、次元性、バンド充填率の制御による超伝導の研究
Project/Area Number |
13740203
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
谷口 弘三 埼玉大学, 理学部, 助手 (50323374)
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Keywords | 有機超伝導体 / 超伝導 / 圧力効果 |
Research Abstract |
申請課題「層状有機物質における圧力、次元性、バンド充填率の制御による超伝導の研究」の研究遂行において、本年度は、有機伝導体の合成、測定装置の開発、及び、測定等を行った。本研究の準備段階としての有機伝導体の合成は、合成設備の拡充を早期に行い、数種類の有機伝導体の合成を行った。特に、合成条件の追及に力を入れ、ある種の物質では、3〜5mg程度の有機伝導体としては、比較的大きな単結晶の育成が、再現よくできるようになった。これにより、比熱や磁化率などのバルクの測定に高感度なデータが得られることが期待できる。このような、合成設備の拡充には、本研究費が必要不可欠であった。また、測定装置の開発は、現在、2〜4の試料の電気抵抗測定が同時に行える装置を開発中であり、ほぼ完成している。また、熱起電力測定装置の開発が終了し、予備的データも得られた。実際の測定については、このような装置で測定する以外に、平行して、外部施設の共同利用等を利用し、実験データを収集している最中である。特に、有機伝導体では、ほとんど例がない、4〜8Gpaといった超高圧領域での電気抵抗測定に成功し、重要な結果もでている。具体的には、層状有機伝導体θ-(BEDT-TTF)_2CsCo(SCN)_4において、圧力誘起CDWを電気抵抗で観測し、これが8GPaといった、超高圧下においても、安定に存在していることを示唆する結果を得た。この結果は、次回の物理学会で報告する予定である。以上のような準備段階、及び予備実験の段階は終了し、来年度は、申請課題の中心テーマの解明を目指し、研究を遂行する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Nakazawa, H.Taniguchi et al.: "Thermodynamic studies of electron correlation effect on organic salts based on BEDT-TTF and DCNQI molecules"J.Phys.Chem.of Solids. 62. 285-288 (2001)
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[Publications] M.Maksimuk, K.Yakushi, H.Taniguchi et al.: "The C=C stretching vibrations of lc-(BEDT-TTF)_2Cn[N(CN)_2]Br and its isotope analogues"J.Phys.Soc.Jpn.. 70. 3728-3738 (2001)
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[Publications] T.Itou, H.Taniguchi et al.: "Electronic state of (DI-DCNQI)_2Ag with Cn doing or underpressure"Synth.Met. 120. 835-836 (2001)