2001 Fiscal Year Annual Research Report
収束超音波による固体ヘリウム4のラフニング転移とステップ間相互作用の解明
Project/Area Number |
13740209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
野村 竜司 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (00323783)
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Keywords | 固体ヘリウム / 液体ヘリウム / 超音波 / 音響放射圧 / 超音波反射率 / 収束超音波 / ファセット / ラフニング転移 |
Research Abstract |
極低温における4Heの固液界面の易動度は通常の物質と比べて著しく大きい。我々は最近、比較的大きなパワーの平行超音波を4He固液界面に照射すると、温度と音波の方向に応じて固体が成長や融解することを見出した。音波の放射圧によって界面が動いていると考えており、易動度の大きい4Heならでわの新しい固液界面操作方法である。また液体と固体の音速の差から超音波を用いて界面の位置を高速に高精度で計測する方法も開発した。これによって超音波のみを用いた固液界面の操作と位置計測が可能となり、量子固体-液体界面のダイナミクスを調べたので報告する。 液体から音波を入射した場合は常に固体が融解した。また融解量は低温に行くほど大きくなった。一方、固体から入射した場合は、750mKより高温では融解、低温で成長することが分かった。この振る舞いは4Heの大きな超音波反射率の温度変化で説明できる。高温では反射率は非常に小さく音波は殆ど透過する。また音速は液体より固体のほうが大きい。従って固体から入射した場合、音波のエネルギー密度は液体のほうが大きく放射圧が固体を溶かすように働く。高温と異なり低温では反射率は100%となる。従って固体から入射しても常に固体が成長するように放射圧が働くことになる。この放射圧モデル実験結果を定量的に説明できた。また超音波を切った後の界面の平行位置への緩和時間を、成長方向、溶解方向で初めて別々に測定した。この二つの緩和時間は絶対値と温度依存性が異なり、界面の進行方向によって衝突する素励起の種類が異なることが原因と考えている。 また収束音波を用いた4He結晶表面からの反射率測定に初めて成功した。反射率は大きく温度変化し低温で増大した。また結晶の方位によっても大きく異なり、ファセットが形成している面では反射が抑制される様子が分かった。今後はラフニング転移温度付近での測定を進める。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] R.Nomura, M.Maekawa, Y.Suzuki, Y.Okumura, Y.Okuda: "Melting of Solid 4He by Ultrasound at 1.2 K"J. Low Temp. Phys.. 126. 39-44 (2002)
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[Publications] Y.Okumura, M.Maekawa, Y.Suzuki, R.Nomura^*, Y.Okuda: "Sound induced melting of solid ^4He in a superfluid"J. Crystal Growth.. (印刷中). (2002)