中性子・X線散乱実験及び熱膨張測定によるウラン化合物の5f電子状態に関する研究

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13740221
• Research Category: Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
• Research Institution: Tokyo Metropolitan University
• Principal Investigator: 桑原 慶太郎 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (90315747)
• Keywords: 重い電子系 / 強磁性超伝導 / ウラン化合物 / 希土類ヘキサボライド / 中性子散乱

Research Abstract

1.強磁性超伝導体UGe_2の低温高圧下での偏極中性子弾性散乱実験により、この系の圧力下でのウラン5f電子の磁気形状因子を測定した。測定結果は前年度に行った常圧下でのUGe_2の磁気形状因子とほとんど一致し、磁気形状因子への圧方効果は小さい事が分かった。現在は極低温高圧下でのUGe_2超伝導相における交流帯磁率・偏極中性子散乱の同時測定を可能にするために、ベリリウム銅製圧力セルの改良等を行っているところである。
2.U_3Pd_<20>Si_6多結晶のパルス中性子非弾性散乱実験をイギリスのラザフォード研究所で行い、ウラン系では非常に珍しい結晶場励起を観測した。この結果はこの系のウラン5f電子は良く局在していることのミクロな証拠である。この非弾性散乱スペクトルの結果及び今までに報告されているバルクの物性測定の結果からこの系の5f電子結晶場状態についての具体的な形をほぼ決定することができた。
3.Gd, Sm, Dy等の熱中性子を良く吸収する希土類元素を含む物質の結晶構造・磁気構造を研究するために高エネルギーの中性子を用いた新しい中性子回折計を高エネルギー加速器研究機構(KEK)パルス中性子散乱施設に設置した。その装置を用いてGdB_6単結晶の中性子回折実験を初めて行い、GdB_6の低温での反強磁性磁気構造の波数ベクトルを決定した。
4.KEK放射光研究施設で重い電子系化合物URu_2Si_2のダイアモンドアンビルセルを用いた低温高圧下粉末X線回折実験を前年度後半から行ってきたが、現在ようやく必要なデータが得られつつある。
5.Ce_<0.75>La_<0.25>B_6のIV相の秩序変数を決定するため、フランスのラウエランジュバン研究所で大強度粉末中性子弾性散乱実験を行った。今回の大強度での測定においても明確な超格子ピークは観測されなかったため、IV相の秩序変数が磁気双極子である可能性はないと考えられる。

Research Products

• [Publications] K.Kuwahara: "Magnetic form factor of UGe_2 under high pressure"Physica B. 312-313C. 106-108 (2002)
• [Publications] K.Kuwahara: "Crystal field excitations in U_3Pd_<20>Si_6"Physica B. 312-313C. 899-901 (2002)
• [Publications] K.Kuwahara: "EXCED-Epithermal Neutron Diffractometer at KENS"Applied Physics A. (IN PRESS).