2001 Fiscal Year Annual Research Report
ハフニウム窒化物層状超伝導体の核磁気共鳴による超伝導発現機構の研究
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13740224
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤 秀樹 広島大学, 大学院・先端物質科学研究所, 助教授 (60295467)
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Keywords | 層状超伝導 / 高温超伝導 / 核磁気共鳴 / HfNCl / 超伝導発現機構 / インターカレーション |
Research Abstract |
Tc〜25.5Kという比較的高い温度で超伝導を示す物質Li_<0.48>(THF)yHfNClの超伝導発現機構を調べるために核磁気共鳴法(NMR)およびSQUID磁束計による実験的研究を行った。 この母結晶β-HfNClは、4eV程度のエネルギーギャップを持つ半導体でありCl-[Hf-N]-[N-Hf]-Cl層状ユニットがc軸方向に層状に積み重なった構造をとる。この物質のCl間にアルカリ金属(Li)を有機分子(THF :テトラヒドロフラン)とともにインターカレートすると、層状構造を保ったまま面間距離が約9Åから18Åに広がり超伝導体になる。この高温超伝導は、半導体相に隣接し、キャリア濃度が約10^<21>cm^<-3>以下ときわめて低い浪度で超伝導が出現すること、また、低キャリアながら比較的高い温度で超伝導を示すことなどから、超伝導機構に興味がもたれている。 Li_<0.48>(THF)yHfNCl配向試料の磁化率の測定をおこない、層状超伝導体に特有の超伝導揺らぎによる磁化の振る舞いを観測し、Li-NMRの結果とあわせてLi_<0.48>(THF)yHfNCl超伝導体が2次元的な電子状態をもつ新しいタイプの超伝導であることをはじめて指摘した。さらに、基本的な超伝導パラメータを決定し、異方的な超伝導であることを明らかにした。 常伝導状態の精密な磁化率の測定から、フェルミレベルでの電子状態密度が通常の10K級のBCS超伝導体に比べると極めて小さく、電子相関も極めて弱いことを明らかにした。これらの結果から、この系の超伝導は従来のBCS超伝導機構では説明することは困難であることを指摘し、電荷揺らぎによる超伝導の可能性を指摘した。今後は、超伝導にもっとも関与していると思われる窒素やハフニウムのNMRを行い、この系の異常な超伝導特性を明らかにし、さらなる高温超伝導への糸口を見つけたいと考えている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Tou, et al.: "NMR studies of ammoniated alkali fullerides"AIP conference proceedings "Nanonetwork Materials". 590. 369-372 (2001)
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[Publications] H.Tou, et al.: "Unconventional superconductivity in electron-doped layered Li0.48(THF)yHfNCl"Physical Review Letters. 86. 5775-5778 (2001)
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[Publications] Hiroshi Kira, Hideki Tou, et al.: "Magnetic properties of K-absorbing zeolite LTA"Journal of Magnetism and Magnetic Materials. 226-230. 1095-1097 (2001)
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[Publications] H.Tou et al.: "NMR studies on antiferromagnetism in alkali-electro-sodalite"Journal of Magnetism and Magnetic Materials. 226-230. 1098-1100 (2001)
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[Publications] H.Tou et al.: "Magnetic properties of the layered superconductor Li0.48(THF)yHfNCl with Tc~26K"Journal of Magnetism and Magnetic Materials. 226-230. 330-332 (2001)
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[Publications] Yutaka Maniwa, Hideki Tou et al.: "Multiwalled carbon nanotubes grown in hydrogen atmosphere : An x-ray diffraction study"Physical Review B. 64. 073105 1-073105 4 (2001)