2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13740229
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井上 純一 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30311658)
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Keywords | 統計力学 / 組合せ最適化 / 量子揺らぎ / 量子モンテカルロ法 / 量子アニーリング / ベイズ統計 / スピングラス / 画像修復 |
Research Abstract |
本研究は量子力学的な確率遷移効果を用いて組合せ最適化問題におけるコスト関数の局所最小からの脱出をはかり、高精度な近似解を高速に求めるツールである「量子アニーリング」の数理的基礎の整備を最終目的として行われている。 今年度はベイズ統計のフレームワークでの画像修復の問題に対し、量子揺らぎが、ハイパーパラメータの推定誤差を抑える役割を果たすという、研究代表者によって得られた結果[J.Inoue,Physical Review E 63 pp.046114-1-046114-10(2001)]に対し、EMアルゴリズム、ボルツマンマシン学習法を用いた周辺尤度最大化法による推定値を、同一の数理モデルに対して導出することにより、その有効性を比較することができた。また、この「古典系」でのハイパーパラメータ推定についてのアルゴリズムを「ダイナミックス」として捉えることができたことから、次年度以降の課題である、量子系でのダイナミックス解析に対する、ある程度の素地を固めることができたと考える。また、このハイパーパラメータ推定のダイナミックスを研究する過程で生まれた「副産物」として、混合ガウス分布の平均値推定問題に対し、一般的に用いられているEMアルゴリズムを、非加法的統計力学を用いて拡張することに成功し、この方法は従来の方法と比べて、推定精度を向上させることを数値計算によって確かめることができた。この結果のより詳細吟味は、次年度以降、情報幾何学を用いた分析に基づいて行っていく。 さらに、上述のベイズ統計を用いた画像修復問題の他に、巡回セールス問題に対して、量子力学的状態遷移項がコスト関数の最適化に与える影響を調べる目的で、平均場モデルを用いた詳細な解析を実行中であり、次年度中にはある程度の結果が出るものと予想される。また、この解析解の妥当性をチェックする目的で、量子モンテカルロ法に基づく計算機シミュレーションを予定しており、この目的でワークステーションを購入し、これを来年度から本格的に用いて研究を進めて行く予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] J.Inoue: "Application to the quantum spin glass model to image restoration"Physical Review E. 63・1. 046114-1-046114-10 (2001)
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[Publications] J.Inoue, A.C.C.Coolen: "Dynamics of on-line Hebbian learning with structurally unrealizable restricted training sets"Journal of Physics A. 34. L401-L408 (2001)
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[Publications] J.Inoue, D.M.Carlucci: "Image restoration using the Q-Ising spin glass"Physical Review E. 64・3. 036121-1-036121-18 (2001)
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[Publications] T.Tadaki, J.Inoue: "Multistate image restoration by transmission of bit-decomposed data"Physical Review E. 65・1. 016101-1-016101-13 (2002)
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[Publications] J.Inoue, K.Tanaka: "Dynamics of the maximum marginal likelihood hyper-parameter estimation in image restoration : gradient descent vs.EM algorithm"Physical Review E. 65・1. 016125-1-016125-11 (2002)
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[Publications] K.Tanaka, J.Inoue: "Maximum Likelihood Hyper-parameter Estimation for Solvable Markov Random Field Model in Image Restoration"IEICE Transaction on Information and Systems. E85-D・3. 546-557 (2002)
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[Publications] K.Tabushi, J.Inoue(共著): "Neural Networks for Signal Processing XI"IEEE Operations Center, New York(Eds.D.J.Miller et al). 582 (2001)