2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13740233
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福島 孝治 東京大学, 物性研究所, 助手 (80282606)
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Keywords | モンテカルロ法 / 拡張アンサンブル / スピングラス / 臨界現象 / Nクイーン問題 |
Research Abstract |
本研究では、準安定状態を帯磁率行列(相関行列)の固有モードとしてとらえようとした。この考え方はすでに提案されたものであり、固有値分布の特性や固有モードの性質は定性的に議論されている。数値的に調べる際には、まずモンテカルロ法によって相関行列を計算し、その後で対角化することになるが、「拡張アンサンブル法」を用いることで精度良く相関行列を計算できたとしても、その行列次元が系の大きさの2乗になるために大きな系で調べるには困難である。これまでにランダムスピン系について、数値的に調べられているが、固有モードの局在・非局在を議論できるほどに大きな系の計算には至っていない。本研究では、扱う行列次元の大きさと対角化に要する計算時間を大幅に改善する2つの方法を提案した。一つは、双対法と呼ばれる方法で、モンテカルロサンプリング軸に対して計算した相関行列と帯磁率行列との双対関係式を用いている。この方法により、従来の計算よりも一桁大きいサイズの計算が可能になった。具体的には、4次元スピングラス模型の計算により、低温相で第一固有値だけでなく、第二固有値もサイズの大きさに比例することを明らかにした。これは、以前の結果とは異なり、スピングラス平均場描像と矛盾しない結果である。また、固有関数が、温度とともに変化する結果を得ており、温度カオスと呼ばれる現象を示唆している(投稿準備中)。もう一つの方法として、計算しながら固有モード解析を行うことで、行列の扱いを仮想的に見えなくするオンライン法を考案した。 また、準安定状態を多数もつ、より簡単な系として、数学パズルの一つであるNクイーン問題についてもモンテカルロ法で詳しく調べた。特に解の個数に着目し、その評価を行った。再重率法を併用することにより、従来の応用数学の研究者の厳密数え上げ法(N<24))と対照的に、大きなクイーン数(N=64)まで調べることができた。この結果は、解の個数はN^N程度あるとする予想を示唆する。
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Research Products
(1 results)