2001 Fiscal Year Annual Research Report
東シナ海黒潮前線域における低塩分水サブダクション過程の時空間変動
Project/Area Number |
13740282
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
磯辺 篤彦 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (00281189)
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Keywords | 東シナ海の淡水収支 / 低塩分水のサブダクション / 黒潮前線波動 |
Research Abstract |
東シナ海に流入する河川水の、少なくとも70%は対馬海峡を通過して日本海に流入することを、対馬海峡におけるADCP/CTD観測記録を整理して明らかにした(Isobe et al.,J. Geophysical Research, in press)。残りの淡水の行方として、東シナ海陸棚縁における黒潮前線中層への低塩分水の貫入(サブダクション)過程を研究中である。2001年5月および10月に長崎大学水産学部練習船「長崎丸」によって、東シナ海の黒潮前線周辺でCTD、ADCP、および係留計による流速観測を実施した。5月の観測では表層から黒潮中層へと貫入する低塩分水が明確に捉えられた。10月の観測では黒潮前線波動が検出されており、これと一部に見られる低塩分水の貫入現象との関連を調査中である。 また、この海域では同様の観測を1998年より毎年5月に実施しており、これらのデータも併せ解析を進めている。集積した観測データによれば、黒潮前線中層に貫入する低塩分水は、常に密度24.5otの等密度面よりも上に検出されている。この等密度面を最下限として、これよりも上層は初春に東シナ海の陸棚上でアウトクロップする。アウトクロップしている海域の表層水温・塩分と黒潮中層に見られる低塩分水周辺のそれらとは、よく一致する事がわかった。また、黒潮前線周辺で見られる低塩分水は、黒潮前線波動の谷(沖側への湾曲部)に滞留する傾向にある。このことより、陸棚の表層にある低塩分水が、黒潮前線波動の発達段階で表層から沖側中層へ貫入していく過程が示唆された。本研究では、表層のアウトクロップを許す簡単な3層数値モデルを用いてこの過程を再現した。 観測結果の概要に関しては2001年日本海洋学会秋季大会にて公表した。さらに低塩分水のサブダクション過程に関する観測とモデルによる解釈は、2002年日本海洋学会春季大会で講演予定である。
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Research Products
(1 results)