2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13740304
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Cultural History |
Principal Investigator |
樽 創 神奈川県立歴史博物館, 学芸部, 学芸員 (50260344)
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Keywords | デスモスチルス目 / 食性 / 顎運動 / microwear / 咀嚼運動 |
Research Abstract |
本研究で今年度得られたデスモスチルス目の食性の推定に関する新たな知見は,1.頭蓋の形態から得られたデスモスチルス目の顎運動の復元,2.Paleoparadoxia tabataiの臼歯におけるmicrowearの観察から得られた顎運動の方向である. 1.顎運動の復元では,Behemotops proteus, B.katsuiei, Paleoparadoxia tabatai, Ashoroa laticosta, Desmostylus japonicus, D.hesperusについて行い,その結果Behemotops属, P.tabatai, Ashoroa属, D.japonicusでは側頭筋,翼突筋などの側方運動を担う咀嚼筋の発達が推定され,その顎運動は側方運動が主だったと復元された.一方,D.hesperusでは咬筋の発達が推定されることから,かみしめる運動が主な咀嚼運動だったと復元された.ただし,D.hesperusでは臼歯の咬合面が前傾することから,結果的には後方への運動(前後運動)が主だったと復元された. これらの内容は日本古生物学会2001年ミレニアムシンポジウムで発表した. 2.Paleoparadoxia tabatai咀嚼運動は,樽(2000)の中で「下顎を前後左右によく動かすすりつぶす運動を行った」と復元された.その結果を検証するため,臼歯のmicrowearを観察した.その結果,P.tabataiでは上・下顎の臼歯において,正中方向と同様の方向,正中方向に対し舌側に約60度に斜行する方向,正中に対し約70度に傾斜する方向の3方向が確認された.このことから,樽(2000)の結果が指示された. この結果は,日本古生物学会第151回例会(於鹿児島大学)にて発表した.
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