2001 Fiscal Year Annual Research Report
地殻-マントル間の物質循環におけるリサイクル物質のリチウム同位体地球化学
Project/Area Number |
13740310
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
森口 拓弥 岡山大学, 固体地球研究センター, 助手 (70304342)
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Keywords | リチウム同位体 / 東北日本弧 / リサイクリング / 三波川成岩 / イオンプローブ / 電気石 / スタンダード |
Research Abstract |
東北日本弧玄武岩類に対してリチウム(Li)同位体分析を行ない,リチウム同位体組成および微量元素組成を伊豆弧火山岩類のそれらと比較した.その結果,伊豆弧火山岩類に見られたような,島弧横断方向に対して明瞭な同位体比変動は東北日本弧の玄武岩類には見られなかった.これは,東北日本弧の方が伊豆弧に比べ,島弧マグマに寄与する,リサイクル物質である海洋堆積物の成分の変質中央海嶺玄武岩成分に対する割合が相対的に多いため,スラブ由来の流体のLi同位体組成が,島弧火山岩マグマのもう一方の端成分であるウェッジマントルのLi同位体組成に近くなってしまったためであるということが明らかになった.このことにより,沈み込み帯-島弧系における物質循環において,Li同位体はリサイクル物質の組成を鋭敏に反映する非常に強力な地球化学的トレーサーになり得ることが明確に立証された.また,伊豆弧においてLi/Y比は島弧横断方向に対して,深発地震面深度が深くなるに従い連続的に減少するが,東北日本弧では深発地震面震度が180kmのところで,大きな正の異常が見られた.これは深発地震面震度が180kmところでのローソン石の分解によると考えられる.したがって,スラブ由来の流体の化学組成は,沈み込んだ物質の鉱物相により制御されていることが明らかとなった.また,このことにより深発地震面震度が180kmスラブ上面の温度を見積もることが可能となり,それは775℃であることも明らかとなった.現在,沈み込んだ物質(三波川変成岩類)を使って,沈み込み深度に伴う,Li同位体組成の変化と変成鉱物相との関係を明らかにすべく,全岩分析とイオンプローブによるLi同位体分析のためのスタンダード作りが進行中である.
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