2001 Fiscal Year Annual Research Report
超分子システム中における低磁場中でのスピンダイナミクス操作による化学反応制御
Project/Area Number |
13740320
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
前田 公憲 筑波大学, 化学系, 講師 (70229300)
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Keywords | ラジカルイオン対 / 電子移動反応 / スピン化学 / 磁場効果 / 電子スピン共鳴 / パルスESR / 過渡吸収 / 光化学反応 |
Research Abstract |
本年度は分子の疎水環境場を利用して分子をミセル中に閉じ込め、その効果を外部磁場による電子スピンダイナミクス操作により観測した。フラビンモノヌクレオチド(FMN)やリボフラビンを電子受容体、インドールやトリプトファンを電子供与体としたシステムにおいて、ミセル濃度と磁場効果との関連により、ミセル形成と磁場効果との関連を調べた。設備備品としてアルゴンレーザを導入することにより、その測定を精度を向上した。その結果、FMNにおいては大きな磁場効果が観測され無いのに対し、リボフラビン系において臨界ミセル濃度を境に大きな磁場効果が観測された。この結果から分子の持つ疎水性がミセル中でのスピン効果に非常に重要であることを明らかにした。さらに、マイクロ波パルスによるスピンダイナミクスの過渡的な制御により、ラジカルイオン対の再結合プロセスとミセルからの脱出プロセスについて明らかにし、インドール系とトリプトファン系とにおいて、ミセルからの脱出速度に顕著な違いの存在を明らかにした。 さらに、フラビンアデニンジヌクレオチドにおける分子内電子移動反応中間体の構造について磁場効果のアクションスペクトルから明らかにした。アクションスペクトルのpH依存性から中間体ラジカルイオン対とフラビンの励起三重項状態との間の平衡がpH<3において存在し、それによりイオン対の存在時間が増大することを新たに示すことが出来た。これにより、比較的低磁場中でのスピンダイナミクス操作による化学反応制御が、より複雑な超分子環境場の光誘起ラジカル反応の解析に有効であり、生体高分子システムへの展開が期待される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Maeda et al.: "Time-Domain Observation of External Magnetic Field Effects on the Delayed Fluorescence of N,N,N・N・Tetramethyl-1,4-phenylenediamine in Alcohlic Solution"The Journal of Physical Chemistry A. 105. 2961-2966 (2001)
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[Publications] K.Maeda et al.: "Microwave-Induced Quantum Beats in Micellized Radical Pairs under Spin-Locking Conditions"The Journal of Physical Chemistry A. 105. 8011-8017 (2001)
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[Publications] K.Maeda et al.: "Time Resolved MARY spectra in the photo cleavage of TMDPO"RIKEN Review. 44. 85-87 (2002)
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[Publications] K.Maeda et al.: "Observation and reaction control of a singlet born radical pair formed photochemically in an SDS micelle"RIKEN Review. 44. 95-96 (2002)
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[Publications] K.Maeda et al.: "Quantum beats in confined radical pairs at a strong pulse microwave field"RIKEN Review. 44. 97-99 (2002)
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[Publications] K.Maeda et al.: "Photocleavage reaction of bromoacetylnaphthalene studied by FT-EPR and transient absorption spectroscopy"RIKEN Review. 44. 121-123 (2002)