2001 Fiscal Year Annual Research Report
電子スピン分極プローブによる一重項酸素の蛋白質内挙動の研究
Project/Area Number |
13740327
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
河合 明雄 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (50262259)
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Keywords | 蛋白質 / 一重項酸素 / 電子スピン分極 / ESR / 励起状態 |
Research Abstract |
初年度は以下の3つの柱で電子スピン分極の研究、ラジカルの選定や試薬合成を行った。 1.電子スピン分極発生機構の検討。一重項酸素とラジカルの電子スピン分極発生について理解するため、様々なラジカル三重項分子衝突対(RTP)における四重項と二重項状態の分裂エネルギーJを、ラジカルに発生した電子スピン分極を観測して研究した。モデル系として、ラジカルにGalvinoxyl、三重項にNaphthaleneやChryseneを用いた場合、Jの符号は正となった。これは、CT状態とRTP状態の相互作用によるJ_<CT>の寄与によるものと解釈した。また溶媒の極性を高くした場合、Jの符号は負に転じた。これは、溶媒極性の効果でCT状態エネルギーが変化し、J_<CT>、の寄与が弱まったためと理解した。このように、励起分子-ラジカル衝突錯体内の電子スピンによる磁気モーメントは、錯体内分子間C一状態に依存することを示した。 2.一重項酸素モニタ用ラジカルの選定。モニタ用ラジカルを選定するため、一重項酸素と様々なラジカルの相互作用による電子スピン分極の発生効率を測定した。ラジカルとして、TEMPO、GalvinoxylおよびDPPHを用いたところ、TEMPOでの電子スピン分極発生効率が極めて大きいことがわかった。また、TEMPOの電子スピン分極をプローブにした一重項酸素のポリフェノール類による消光速度定数測定を行った。決定した消光速度定数はポリフェノールの酸化琶位に依存し、CT相互作用による消光が重要であることを示した。 3.試薬合成。本課題のタンパク質内一重項酸素挙動研究には、一重項酸素発生用にアントラセン酸素架橋試薬が必要である。この試薬合成では、光増感によるアントラセンへの溶存酸素付加反応を利用た。合成した試薬は、光増感剤等との混合物として得られたため、カラムクロマトグラフィーによる分離を検討中である。
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Research Products
(1 results)