2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13740345
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平井 敦 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30322796)
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Keywords | ホウ素ルイス酸 / エポキシド開環反応 / 動力学的分割 / 分子軌道計算 |
Research Abstract |
本研究を遂行するにあたり,まず予備的検討として宮下ら(北海道大学大学院理学研究科)によって開発されたホウ酸トリメチル存在下での2,3-エポキシアルコールの位置選択的アジド化反応について実験的または理論的手法を用いて詳細な検討を行うこととした.本反応の溶媒であるDMFは有機溶媒の中でも特に誘電率が高く,水相中での反応のモデルとなりうると考えられる.また,本反応では活性化剤としてホウ酸トリアルキルを用いており,本研究計画のモデル反応として妥当であると考えられる.さらに本反応は副生成物を生成することなく位置および立体特異的に進行する反応であり,ルイス酸の挙動について詳細に検討を加えることが可能であると考えられる. 上記の理由により,まず,本反応の反応経路について分子軌道法による理論的検討を行った(HF/3-21G(^*)レベル).その結果,これまで考えられていたエポキシアルコールのホウ酸エステルのホウ素原子にアジ化物イオンが配位してアート錯体を形成し,分子内で求核置換反応が進行するという経路よりも,ホウ酸エステルのホウ素原子がエポキシド酸素に配位して環構造を形成し,そのルイス酸性によりエポキシドが活性化されて求核的に開環反応が進行するという経路が有利であるという興味深い知見を得た. また,実験的検討として,trans-2,3-エポキシアルコールに対し光学活性アルキルホウ酸であるビス(イソカンフェイル)ホウ酸存在下NaN_3を用いて開環反応を行い,動力学的光学分割を試みて,反応速度に関して予備的な知見を得た.
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