2002 Fiscal Year Annual Research Report
ジメルカプトチアジアゾールを配位子とする分子性多核錯体の段階的合成
Project/Area Number |
13740367
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柘植 清志 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60280583)
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Keywords | ジメルカプトチアジアゾール / 白金錯体 / パラジウム錯体 / ルテニウム錯体 / 混合金属錯体 / 酸化還元相互作用 |
Research Abstract |
2,5ジメルカプト1,3,4チアジアゾール(DMcTH_2)は、多様な配位形式が可能な配位子であり、金属の分析、重金属の捕集、二次電池の正極剤などに用いられている。しかし、現在までに報告されたDMcT錯体は、ほとんどがポリマー性の固体化合物であり、分子レベルでの構造や反応性は明らかにされていない。本研究ではDMcTH_2を配位子として持つ分子性の錯体の合成と物性解析を目的とし、13年度は、単核及び複核白金錯体、単核ルテニウム錯体、銀(I)-及びCu(I)-DMcT無限鎮状錯体を合成し、その構造、電気化学的性質を明らかにした。 14年度も、これに引き続き分子性錯体の合成を行った。置換可能な配位座を一つ持つ[Pd(trpy)(OH)](PF_6)を13年度に合成した白金単核錯体[Pt(trpy)(DMcTH)](PF_6)に導入することにより混合金属錯体[(Pt(trpy)(μ-DMcT)[(Pd(trpy))](PF_6)_2が合成できる事を明らかにした。また、同様に置換可能な配位座を一つ持つルテニウム錯体[Ru(trpy)(bpy)(H_2O)](PF_6)_2を白金単核錯体[Pt(trpy)(DMcTH)](PF_6)に導入することにより混合金属錯体[(Pt(trpy)(μ-DMcT)(Ru(trpy)(bpy))](PF_6)_2の合成を行った。また、ルテニウム複核錯体[(Ru(trpy)(bpy))_2(μ-DMcT)](PF_6)_2も合成し、これらの構造決定を行い、全ての複核錯体でDMcT^<2->は環外メルカプト基で金属中心に記位していることを明らかにした。これらの錯体の電気化学手挙動の検討も行った。特にルテニウム複核錯体では、酸化によりRu(II)Ru(III)の混合原子価状態が安定に生成することを明らかにした。 二年にわたる研究により、DMcT配位子が新規の架橋配位子として分子性錯体構築に有効であることと、電気化学的相互作用を伝達する配位子として機能することを明らかにした。
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