2001 Fiscal Year Annual Research Report
電気・磁気的に興味ある新規f-d混合電子系カルコゲナイドの創製と磁気化学的研究
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13740368
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
分島 亮 北海道大学, 大学院・理学研究科, 講師 (10292046)
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Keywords | 遷移金属 / 希土類元素 / 反強磁性 / スピン転移 / 磁気構造 |
Research Abstract |
遷移金属および希土類元素を含む新規四元系硫化物BaLn_2TS_5(Ln=希土類元素、T=遷移金属)の合成に成功した。粉末X線および中性子回折により、これらの化合物群の結晶構造を決定し、いずれも構造が正方晶(空間群I4/mcm)であることを明らかにした。電気伝導度、磁化率、比熱、メスバウア分光等の測定手法を用いて、電気・磁気的性質について調べ、その電気的性質は半導体的であり、これらの化合物中では遷移金属および希土類元素はそれぞれ2価および3価の原子価状態をとることを明らかにした。また、遷移金属としてマンガンおよびコバルトを含む化合物では、これらの金属が60K付近で反強磁性転移を示したのに対し、鉄化合物に関しては、希土類元素がランタンの場合に20K以下でスピングラス様挙動を示し、それ以外の化合物では40K付近で反強磁性転移を、150K前後でスピン転移を示すという複雑な挙動を示すことを見出した。さらに、希土類元素に関しては、ネオジムおよびサマリウムに関して低温で反強磁性転移が観測された。粉末中性子回折法によりマンガン、コバルトおよび鉄の反強磁性状態について調べたところ、それぞれの遷移金属の磁気モーメントはいずれもc軸方向を向いているものの、その磁気構造はマンガンおよびコバルトが同構造をとったのに対し、鉄のそれは異なっており、マンガンおよびコバルトの磁気構造は結晶構造と同じ単位胞を持ち、鉄の磁気構造は結晶構造の2倍の大きさの単位胞を持つことが明らかになった。
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