2002 Fiscal Year Annual Research Report
単分子素子合成に向けた積層型フタロシアニンオリゴマーの配列規制法の開発
Project/Area Number |
13740372
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野々村 太郎 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (80302082)
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Keywords | フタロシアニン / オリゴマー / 金属錯体 / 単分子素子 / ケタール / 異性体 |
Research Abstract |
積層型フタロシアニン(Pc)オリゴマーの合成には、共有結合もしくは配位結合を介して中心金属を連結する手法がとられる。しかし、一般に金属一置換基間の結合は非常に弱いため、生成が確認されている物でも実用に耐え得るだけの十分な安定性を持たない。そこで、屈曲した周辺置換基を介したPcの積層化法の開発に向けて検討を行った。 屈曲部位として2位に側鎖を持つシクロヘキシリデンケタールを用いた構造は合成の行程数が少なく、また置換基の選択できる範囲が広く汎用性に富むため採用した。シクロヘキサン環がベンゼン環に対して垂直に固定され、2位に側鎖がエクアトリアル位となる椅子型コンホメーションをとる。この際、側鎖はPc環に対して60-90°の角度をとると期待でき、実際、合成した化合物(無金属体)のNMRスペクトルにおいて側鎖末端部分の化学シフト値がPc環形成前に較べて高磁場側にシフトした事より、導入した側鎖が設計通りPc環の垂直方向へ配向している事を確認している。 しかし、現在の方法では4本の側鎖のPc環の上下に関する相対的方向を制御できないうえ、側鎖の付け根が不斉点となるため各種構造異性体の混合物が生成する。今後のオリゴマー鎖伸長には、対角線上の側鎖が同じ向きをした異性体を十分な量供給することが必要となる。そこで、まず側鎖付け根をsp^2炭素として不斉点を消失させた上で、側鎖方向の異なる異性体の分離を試みた。各種分離方法を検討したが、十分な量を分離しうる手法を確立できていない。現在、特定の異性体に選択的なPcの合成法を適用し、目的とする異性体のみを合成する事で、この問題の解決をはかるべく側鎖の検討を行っている。
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Research Products
(1 results)