2002 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ-マクロサイズのポリモリブデン酸クラスターの光合成
Project/Area Number |
13740374
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石川 英里 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (90323831)
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Keywords | X線構造解析 / イソポリモリブデン酸 / 光化学反応 / ケギン構造 / リング構造 / 平面構造 / 自己集合化 / ナノ-マクロサイズ |
Research Abstract |
ポリ酸の光化学反応はポリ酸の酸素(O)→金属(M)電荷移動(LMCT)吸収帯への光照射により開始され、多くのイソポリモリブデン酸はこの光化学反応に誘起されて自己集合化する。本研究はナノ-マクロサイズのポリ酸を得るため、種々の反応条件下でイソポリモリブデン酸の光誘起自己集合化反応を行い、形成されるポリモリブデン酸イオンの構造化学を明らかにすることでその形成メカニズムを解明し、巨大クラスターポリ酸を得るための分子設計の指針を得ることを目的としている。このような試みの中でpH5の弱酸性条件下、酢酸を電子供与体として[M_<O7>O_<24>]^<6->を光還元することにより[H_4M_O^<VI>_<10>M_O^V_8O_<56>(CH_3COO)_2]^<10->の合成、結晶化に成功した。[M_O^<VI>_<10>M_O^V_8O_<56>(CH_3COO)_2]^<10->は平面リング構造を示し、中央に8個のM_O^Vサイトによって囲まれた3.4×3.6Åの空隙が存在していた。この空隙内には結晶水や対カチオンは取り込まれていなかった。またM_O^Vサイトはいずれも2.6ÅのM_O^V-M_O^V結合していることが確認され、還元によって取り込まれた8電子は金属結合内に局在化していると推定される。一方で電子供与体としてイソプロピルアンモニウムイオンを用いた系では[H_<16>M_O^V_<12>O_<40>(M_O^<VI>O_3)_4]^<4->の形成が確認された。[H_<16>M_O^V_<12>O_<40>(MO^<VI>O_3)_4]^<4->はε-Keggin構造である{M_O^V_<12>O_<40>}骨格に4個の{M_O^<VI>O_3}がキャップした構造を示した。{M_O^V_<12>O_<40>}骨格においてすべてのM_O^Vサイトは2.6ÅのM_O^V-M_O^V結合をしていた。また酢酸を電子供与体とした系においてもpH6の場合には[H_<16>M_O^V_<12>O_<40>(M_O^<VI>O_3)_4]^<4->が形成されることが見出された。現在、各系の電気伝導度の測定結果などと合わせてイソポリモリブデンの光誘起自己集合化反応の詳細を求めつつある。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Yamase, B.Bogdan, E.Ishikawa, K.Fukaya, S.Shigeta: "Magnetic Exchange Coupling and Potent Antiviral Activity of [(VO)_3(SbW_9O_<33>)_2]^<12->"Polyoxometalate Chemistry for Nanocomposite Design, ; T.Yamase and M.T.Pope (Eds.), Kluwer Academic Publishers. 169-180 (2002)
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[Publications] 石川 英里, 山瀬 利博: "金属酸化物クラスターイオン(ポリ酸)の機能と分子設計"マテリアルステージ、技術情報協会. (印刷中). (2003)