2001 Fiscal Year Annual Research Report
磁性薄膜への分子吸着による磁気スイッチング―深さ分解XMCD法による解析
Project/Area Number |
13740390
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
雨宮 健太 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80313196)
|
Keywords | 表面磁性 / 分子吸着 / 深さ分解 / 磁気異方性 / 電子の脱出深度 / コバルト / ニッケル / 一酸化炭素 |
Research Abstract |
まず、検出深度を制御するために取り込み角を小さくするスリットを具備した電子検出器を製作した。これを用いて、試料と検出器の位置関係を変えることで取り込む電子の出射角を変化させ、検出深度3-10Å程度の範囲で検出深度を制御することに成功した。このシステムを用いてCu(100)単結晶に成長させたFe薄膜に対して深さ分解XMCDの測定を行い、磁気モーメントが表面2層のみに局在化していることを直接的に示した。これは過去の実験の結論と同じであるが、本研究によってより直接的、定量的に確かめることが出来た。さらに、表面2層よりも深い部分について、磁気モーメントが無いのか、反強磁性的になっていて見かけ上見えないのか、あるいはスピン密度波を生じているのかについて、深さ分解の手法を用いて議論した。 一方、分子吸着による磁気スイッチングに関して、Pd(111)単結晶上に成長させたCo薄膜に一酸化炭素を吸着させることで、それまで面内を向いていた磁化容易軸が面直に変化することを初めて見出し、XMCDスペクトルから軌道磁気モーメントの変化を明らかにした。この転移は室温では決して起こらないが、200K程度に冷却して初めて起こることもわかった。さらに、これらの結果をCu(100)単結晶上に成長させたNi薄膜に一酸化炭素、水素を吸着させた場合と比較し、磁化容易軸が変化する機構を明らかにした。 また、X線吸収スペクトルを分光器を掃引することなく一度に得ることが出来るシステム(エネルギー分散型表面XAFS)をXMCDにも応用し、分子の吸着によって磁化容易軸が変化していく過程をその場で観測した。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] K.Amemiya, 他: "O K-edge x-ray magnetic circular dichroism of atomic O adsorbed on an ultrathin Co/Cu(100) film : Comparison with molecular CO on Co/Cu(100)"Physical Review B. 64. 132405-1-132405-4 (2001)
-
[Publications] Y.Yonamoto, T.Yokoyama, K.Amemiya, 他: "Magnetism of an ultrathin Mn film on Co(100) and the effect of oxidation studied by x-ray magnetic circular dichroism"Physical Review B. 63. 214406-1-214406-7 (2001)
-
[Publications] K.Amemiya他: "A soft x-ray beamline for surface chemistry in the Photon Factory"Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena. (in press).
-
[Publications] Y.Yonamoto, T.Yokoyama, K.Amemiya他: "Magnetic interaction between adsorbed NO and fcc Co(001) thin films studied by X-ray magnetic circular dichroism"Journal of Physical Society of Japan. (in press).
-
[Publications] K.Amemiya他: "Energy Dispersive Surface Near Edge X-Ray Absorption Fine Structure in the Soft X-Ray Region : A New Technique to Investigate Surface Reactions"Japanese Journal of Applied Physics. 40. L718-L720 (2001)