2001 Fiscal Year Annual Research Report
安定カルベンを配位子として持つ6族メタロセン型錯体の合成とその応用
Project/Area Number |
13740413
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
山口 佳隆 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助手 (80313477)
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Keywords | モリブデン / モリブデノセン誘導体 / 安定カルベン / イミダゾール-2-イリデン / イミダゾリウム塩 / イミダゾリジン-2-イリデン / 非環状カルベン / 酸化的付加反応 |
Research Abstract |
安定カルベンが配位したモリブデノセン錯体の合成とその素反応に関する研究を行った。 陰イオン性モリブデノセン錯体[Cp_2Mo(H)Li]_41と4当量のイミダゾリウム塩との反応を光照射下で行ったところ、イミダゾール-2-イリデンが配位したモリブデン錯体Cp_2Mo(carbene)2の合成に成功した。同様の方法により、カルベンとしてより反応性の高いイミダゾリジン-2-イリデンを配位子として持つ錯体の合成にも成功した。しかし、非環状カルベンの前駆体であるアミジニウム塩との反応では、目的錯体の合成には至らなかった。陽イオン性モリブデノセン錯体[Cp_2Mo(H)OTs]3とイミダゾリウム塩を2当量の塩基(KO^tBu)存在下で反応を行った結果、カルベン錯体2の合成に成功した。本合成法は簡便で高収率が期待できる有効な方法である。 X線結晶構造解析により錯体2の構造を明らかにした。その結果、金属フラグメントのHOMOとカルベン配位子の空のp軌道(LUMO)との相互作用(金属から配位子へのπ-back donation)がない構造であった。 モリブデノセン-カルベン錯体2とプロトン酸およびハロゲン化アルキルとの反応による酸化的付加反応に関する検討を行った。錯体2と酸としてp-TsOHとの反応を行ったところ、陽イオン性ヒドリドカルベン錯体4が生成した。錯体2はメタノールとも反応し、ヒドリド錯体4を与えた。ハロゲン化アルキルとしてヨウ化メチルとの反応を検討したところ、陽イオン性メチルカルベン錯体5の生成を確認した。さらにヨウ化エチルとの反応では、期待した陽イオン性エチル錯体の生成は確認されず、ヒドリド錯体4の生成を確認した。これらの反応性は対応するモリブデノセン-ホスフィン錯体と比べ高いことから、錯体2における金属フラグメントのHOMOが重要な役割を担っていると考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Minato: "Reactions of quadruply. chelated silyl-and germyl-molybdenum hydrido complexes with carboxylic acids and carbon dioxide : a first example of carbon dioxide fixation utilizing the trans effect of a silyl ligand."Chemical Communications. 24. 2654-2655 (2001)
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[Publications] H.Kondo: "Oxidative addition of allylic substrates to coordinatively unsaturated ruthenium compounds, [Ru(η5-C5Me5)(η-amidinate)]:preparation, structure elucidation, and catalysis of novel ruthenium(IV)-η3-allyl complexes."Bulletin of the Chemical Society of Japan. 74・10. 1927-1937 (2001)
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[Publications] M.Minato: "Molybdenum hydrido complex containing a novel quinquidentate(P, P, Ge, P, P)ligand."Chemistry Letters. 10. 960-961 (2001)
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[Publications] T.Hayashida: "Isolable yet highly reactive cationic organoruthenium(II) amidinates, [Ru(η6-C6R6)(η-amidinate)]+X-, showing signs of coordinative unsaturation : isoelectronic complexes of Ru(η5-C5Me5)(η-amidinate)."Chemistry Letters. 10. 954-955 (2001)