2001 Fiscal Year Annual Research Report
ホスト分子の集団的配向の生成・崩壊の誘導によるアニオンの高感度検出法の開発
Project/Area Number |
13740423
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石岡 寿雄 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助手 (60304838)
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Keywords | 第二高調波発生 / 分子認識 / 自己組織化単分子膜 / アニオン認識 |
Research Abstract |
本研究の目的は,電極表面に自己組織化単分子膜を生成させ,その秩序構造の生成・崩壊をアニオン種の存在により誘導することによりアニオンの高感度検出を実現しようとするものである.平成13年度においては,アミノ基を官能基として有した各種アントラキノン誘導体を用い,電極表面における水素結合に基づいた自己組織化状態の生成と崩壊を誘導することを試み,電気化学的測定法ならびに,表面の対称性の変化に鋭敏なレーザー光の第二高調波発生によりその状態を解析した. 構造が規制された電極表面として金の単結晶面((111)面)を用い,アミノ基を有したさまざまのアントラキノンを吸着させた.レーザー光の界面における第二高調波発生の回転異方性を測定したところ,2位および6位にアミノ基を有するアントラキノンが最も表面における秩序性が高く,また電極表面の金原子の対称性である3回対称性を保持することが明らかとなった.分子の吸着構造が電極表面の原子配列に基づいた3回対称の構造をとり,なおかつ分子間の相互作用により構造化しているためと考えられる.さらに電極電位依存性を測定したところ,分子の酸化・還元に伴い第二高調波発生の状況が大きく変化した.この結果は表面における水素結合構造の生成・崩壊が電位により制御しうることを意味する. 次にアミノアントラキノンの自己組織化状態にアニオンの存在の与える影響を評価した.塩化物イオンを溶液中に共存させたところ,第二高調波の回転異方性が顕著に増大する現象が観測された.以上の結果より,アニオンの存在により電極表面の分子配向の生成・崩壊が誘導できることが確認された. 平成14年度は以上の結果を踏まえ,リン酸,酢酸等,各種アニオンに適した分子設計,表面設計を行い,電位により吸着状態をコントロールことにより,これまで困難であった水溶液中でのアニオン種の高感度検出の実現を目指す.(791字)
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Ishioka, T.Uchida, N.Teramae: "Analysis of the redox reaction of 9, 10-phenanthrenequinone on a gold electrode surface by cyclic voltammetry andtime-resolved Fourier transform surface-enhanced Raman scattering spectroscopy"Analytica Chimica Acta. 449. 253-260 (2001)
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[Publications] 石岡寿雄(岩澤康裕 他監修): "固/固界面における非線形分光法(界面ハンドブック第4節)"エヌ・テイー・エス. 3 (2001)
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[Publications] 石岡寿雄(梅澤喜夫 他編): "9, 10-フェナントレンキノンの表面増強ラマンスペクトルの測定(機器分析実験,第二章)"東京化学同人. 6 (2002)