Research Abstract |
本研究では,HPLCによる糖類のより高性能な分析法を確立するために,糖分析用充填剤として,クロロメチルスチレン-ジビニルベンゼン共重合体担体(粒径5μm)と様々な三級アミン類との反応により官能基を導入した四級アンモニウム塩型糖分析用充填剤を開発し,その性能と三級アミンの構造との相関,ひいては糖の構造と充填剤との相互作用を検討することを目的としている. 平成13年度の研究では,α,ω-ジハロアルカン誘導体の両末端をジメチルアミノ基に置換した三級アミン類を合成し,以下の5種類の四級アンモニウム塩型充填剤を調製した. (a)疎水性効果を検討するため,長鎖のメチレン鎖をもつ疎水性を増したジアミン型充填剤D_n(n=8,10) (b)イオン-双極子相互作用が分離能に与える影響を調べるため,オキシエチレン鎖として極性を高めたオキシエチレン型充填剤O_n(n=1,2,3) 以上の充填剤をPEEK製カラム(4.6mm I.D x 250mm)に充填し,溶離液:0.1M NaOH,流速:1.0mL/minの条件において,単糖9種,二糖4種の分析を行い,その溶出時間よりcapacity factorを算出し,以下のような結果を得た. ・ 疎水性を増した充填剤D_n(n=8,10)は,鎖長nの増加に伴いcapacity factorも増加するが,D_n(n=1〜6)に比べ,その増加傾向は弱くなった. ・ オキシエチレン型O_1は,対応する鎖長のD_5よりcapacity factorが大きい.これは,オキシエチレン鎖中の酸素原子の効果と考えられる.しかし,興味深いことに,O_2のcapacity factorを最大値として,O_3のcapacity factorは減少した.これは,強アルカリ移動相中において,O_3の3つの酸素原子と末端の窒素原子が,Na^+イオンと相互作用するため糖の保持作用が弱くなっている可能性が考えられた. 以上,2点の傾向をより深く追求するために,ジアミン型,オキシエチレン型ともに,さらに鎖長の長い充填剤を合成し,糖類の分析を行う必要がある.
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