2001 Fiscal Year Annual Research Report
魚類における糖タンパク質ホルモン受容体の機能と遺伝子起源に関する研究
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13740472
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大場 裕一 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (40332704)
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Keywords | アマゴ / ティラピア / LH受容体 / FSH受容体 / TSH受容体 |
Research Abstract |
研究代表者らによって,硬骨魚類で最初にクローニングされたアマゴとティラピアのFSH受容体・LH受容体様遺伝子の生殖腺での発現時期の解析をノーザンブロットにより行った。その結果,アマゴでは,卵巣においては卵黄蓄積期にFSH受容体が高く,卵成熟期にはLH受容体が高いことが判った。ティラピアは年多回産卵魚であるため,卵巣内に様々なステージの卵が共存するが,それらを分離してノーザンブロットを行ったところ,アマゴと同様の発現プロファイルが確認された。雄では,精巣の発達に伴ってFSH受容体・LH受容体が共に増加してゆくことがアマゴとティラピア両方で示された。こうした結果は,すでに知られている哺乳類や鳥類での受容体の挙動に整合したものであり,硬骨魚類においても,これらの受容体が機能的に保存されていることが明かとなった。 これまでのアミノ酸ホモロジーの比較からは硬骨魚類のFSH受容体とLH受容体の分子系統関係が十分明らかにはならなかったので,今回それぞれの遺伝子のゲノム解析を行い,ティラピアFSH受容体・LH受容体のイントロン/エクソン構造を明らかにした。その結果FSH受容体遺伝子に12個,LH受容体遺伝子に10個のイントロンの挿入が確認された。そのうち,LH受容体イントロンのひとつが哺乳類のLH受容体に特徴的なイントロン位置と一致することが判明したことから,魚類LH受容体が分子系統的に哺乳類のLH受容体のオルソログであることが示唆された。 以上により,硬骨魚類から新規に発見したFSH受容体・LH受容体・TSH受容体は,分子系統的にも機能的にも哺乳類や鳥類のそれぞれと対応するものであることが強く示唆された。
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Research Products
(1 results)