2002 Fiscal Year Annual Research Report
色素体分化を調節するブラシノステロイドの作用に関する細胞形態学的研究
Project/Area Number |
13740475
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
永田 典子 理化学研究所, バイオケミカルリソース研究チーム, 研究員 (40311352)
|
Keywords | ブラシノステロイド / ブラシナゾール / 光形態形成 / 色素体 / プロラメラボディ / 緑化 / サイトカイニン / チラコイド膜 |
Research Abstract |
プラシノステロイド欠損植物は、暗所で発芽・生育させると、もやしにならずに光形態形成をおこなう。一方、サイトカイニンを与えて暗所で生育させた場合も同様の変化がおこることが知られていた。このように、プラシノステロイドとサイトカイニンは、暗所での光形態形成に関して逆の効果を示すようにみえる。しかしこれまで微細構造レベルで両者の作用を比較した例はない。そこで、当該年度の研究では、色素体分化という側面からプラシノステロイド欠損とサイトカイニン過剰の作用を比較することを目的とした。 特異的プラシノステロイド生合成阻害剤であるBrzを4μM添加した培地、またはサイトカイニンの一種ベンジルアデニン(BA)を250μM添加した培地で育てたものは、暗所から明所に移した時の緑化がcontrolに比べ早かった。BrzとBA両方を添加した培地で育てたものは、Brz単独、BA単独で育てたものと緑化の早さは同じ程度であった。BA培地にブラシノライド(BL) (1μM)を一緒に添加した場合でも、BA単独の時と緑化の早さは同じ程度であった。Brz処理及びdet2の暗所芽生えの子葉の色素体は、プロラメラボディの結晶構造を含む典型的なエチオプラストであったが、プロラメラボディの占める面積が無処理に比べ大きかった。一方、BA処理の色素体は、プロラメラボディの面積が小さく、むしろチラコイド膜が発達していた。以上のように、暗所での色素体の発達という点において、プラシノステロイド欠損とサイトカイニン過剰は独立の異なる作用を持っていた。さらに、暗所のBrz処理植物を光存在下に移して2時間後に電子顕微鏡観察したところ、渦巻き上に激しく発達したチラコイド膜が観察された。ブラシノステロイド欠損時には、これまでに知られていない、特殊なチラコイド膜発達様式をとる可能性がある。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] N.Nagata, M.Suzuki, S.Yoshida, T.Muranaka: "Mevalonic acid partially restores chloroplast development in a cla1 Arabidopsis mutant lacking a non-mevalonate pathway"Planta. 216. 345-350 (2002)
-
[Publications] N.Nagata, T.Asami, S.Yoshida: "Brassinazole, an inhibitor of brassinosteroid biosynthesis, inhibits development of secondary xylem in cress plants (Lepidium sativum)"Plant Cell Physiolgy. 42. 1006-1011 (2001)