2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13740482
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
志賀 向子 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90254383)
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Keywords | 光周性 / キノコ体 / ルリキンバエ / 神経芽細胞 / キノコ体神経芽細胞 / ノハラカオジロショウジョウバエ / 細胞譜系 |
Research Abstract |
完全変態昆虫の脳は幼虫、蛹期も発生をつづけ、変態後に完成する。脳内の各領域は決まった神経芽細胞の分裂により生じる。これを利用し、特定の神経芽細胞を発生過程で除去すれば、成虫の脳において特定の領域を欠損させることが可能になる。以上のことを念頭におき、本年度はまず、ルリキンバエの1)脳神経の細胞譜系を作製した。そして、2)光周反応を調べるための実験条件を設定した。 1)艀化後一定時間ごとに、5-bromo-2'-deoxyuridine(BrdU)を幼虫、および蛹にとりこませ、脳内で分裂してい,る神経芽細胞を検出した。その結果、孵化後0〜18時間は各脳半球で4つの神経芽細胞のみが分裂していた。それ以降の幼虫期では、多数の神経芽細胞か活発に分裂していた。囲蛹形成後48時間までに多くの神経芽細胞は分裂を停止した。しかし4対の神経芽細胞は囲蛹形成後72時間まで分裂していた。"孵化後18時間までに分裂していた4対の神経芽細胞が、どのようなニューロンを生み出すのかを調べるため、孵化後0〜6時間にBrdUをとりこませ、'その後、蛹期の後半でBrdUを検出した。その結果、キノコ体の傘部の背側にあるKenyon細胞が存在する位置と一致した。この結果から、孵化直後に分裂していた神経芽細胞は、キノコ体を構成するキノコ体神経芽細胞(mushroom body neuroblast, MBNb)であると考えられた。 2)ルリキンバエは25℃にてLD18:6で非休眠、LD12:12で休眠となった。また、ノハラカオジロショウジョウバエは15℃にてLD16:8で非休眠、LD12:12で休眠に入ることがわかった。 来年度は孵化後0〜18時間にヒドロキシ尿素を投与することでキノコ体を欠損させたルリキンバエ、ノハラカオジロショウジョウバエを作製し、キノコ体と光周性の関連を解析する予定である。
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