2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13740499
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
米田 穣 独立行政法人国立環境研究所, 化学環境研究領域, 研究員 (30280712)
|
Keywords | 放射性炭素 / 年代測定 / 炭素 / 窒素 / 同位体 / 縄文時代 / 加速器質量分析 / 炭素循環 |
Research Abstract |
本研究では、古人骨で測定される見かけ上の放射性炭素年代と真の年代のずれから、過去の食性を定量的に復元することを目的としてる。今年度は、方法論の確立をはかり、実際に遺跡から出土した資料を用いて分析を開始した。具体的には、北海道伊達市に位置する北黄金貝塚(縄文時代前期)から出土した縄文時代人骨と同じ層序から出土した動物骨を対象に放射性炭素年代と炭素・窒素安定同位体比を測定した。北黄金遺跡の場合、ヒトとシカ、オットセイの3種の骨から抽出したコラーゲンで、加速器質量分析法を用いて測定したところ、大気と同位体的に平衡であると考えられるシカの放射性炭素年代に対して、海洋から炭素を得ているオットセイでは約800年見かけの年代が古くなる現象が観察された。これは「海洋リザーバー効果」と呼ばれる現象で、深層から古い炭素が湧きあがってくることが主要な原因であると考えられた。同様の現象が人骨試料でも明らかに認められ、その大きさが全タンパク質摂取のなかで海産物が占める割合を表していると考えられた。あわせて、コラーゲンに含まれる炭素と窒素の安定同位体比を測定したところ、見かけ上の放射性炭素年代と同様に非常に海産物に強く依存した食性を示した。安定同位体比の分析結果に基づくモンテカルロ・シミュレーションによる量的な推定値は、放射性炭素を指標とした値と非常によい一致をしめしている。しかし、シミュレーションによる結果は非常に大きな誤差を含んでおり、詳細な食生活の検討には不十分であることが確認された。さらに考古学的な研究で得られた道具組成の分析結果や動物骨組成あるいは安定同位体比の分布パターンなどの情報を加味して、より具体的な食糧資源を選定することが可能であり、その結果に基づいたシミュレーションが必要であると考えられる。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] M.Yoneda, et al.: "Marine radiocarbon reservoir effect in the western North Pacific observed in archaeological fauna."Radiocarbon. 43(印刷中).
-
[Publications] M.Yoneda, et al.: "Radiocarbon marine reservoir effect in human remains from the Kitakogane site, Hokkaido, Japan."Journal of Archaeological Science. (印刷中).