2002 Fiscal Year Annual Research Report
分子構造をメモリに利用した1nmスケールメモリーの創成
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13750026
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 良之 東京大学, 物性研究所, 助手 (00302638)
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Keywords | シリコン / 有機分子 / ナノスケール / 分子素子 |
Research Abstract |
<機能性有機分子/シリコン>ハイブリッド構造は分子エレクトロニクスに関連して,非常に興味が持たれている。シクロヘキセンとシリコンダイマーとの反応は熱的に安定なdi-sigma結合を作り,2x1構造を反映して分子が表面に規則正しく吸着する。また,シクロヘキセンの構造異性体である舟形,ねじれ舟形が室温で共存する。もし,これらの構造が可逆的にSTMチップなどで転移可能ならば構造をメモリに利用した読み-書き可能な巨大容量メモリになるため非常に興味深い。そこで今年度は分子個々の舟形-ねじれ舟形間の転移をSTMにより試みみた。 実験は超高真空チャンバー内で行った。清浄面は1250℃にて数回フラッシュすることにより作成した。シクロヘキセン分子はガス状にてチャンバー内に導入した。STM測定は室温まで冷却してから行った。 舟形構造にパルス電流を流すと舟形からねじれ舟形構造に転移させることに成功した。現在,舟形からねじれ舟形には構造を転移させることが可能だが,その逆反応は現在行った条件では観測されなかった。詳細なバイアス電圧及びSTM電流依存性を行うことによりその可逆反応が可能になると思われる。 また,5eVのパルス印加電圧では舟形構造のみ脱離させることができた。昨年度の結果では,200℃では舟形構造がdominantであった。このことから分子をSTMで脱離させれば,読みこみのみ可能である巨大容量メモリとなることを示唆する。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Yamashita: "Direct Evidence for Asymmetric Dimer on Si(100) at Low Temperature by means of High Resolution Si 2p Photoelectron Spectroscopy"Japanese Journal of Applied Physics. 41. L272-L274 (2002)
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[Publications] 山下良之: "高分解能内殻光電子分光法で観たSi(100)(2x1)表面と有機分子との結合"Photon Factory News. 19. 31-37 (2002)
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[Publications] 山下良之: "高分解能内殻光電子分光法で観測される吸着分子の振動準位"表面科学. (印刷中). (2003)
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[Publications] M.Nagao: "Nature of interface bonding of ethylene and benzene with Si(100)c(4x2) by means of angle-dependent Si 2p high resolution photoelectron spectroscopy"Surface Science. 513. 413-421 (2002)
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[Publications] S.Machida: "Electronic and vibrational states of cyclopentene on Si(100)(2x1)"Journal of Physical Chemistry B. 106. 1691-1696 (2002)
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[Publications] S.Machida: "Electronic states and chemical reactivity of Si(100)c(4x2) surface at low temperature studied by high resolution Si 2p core level photoelectron spectroscopy"Surface Science. (In press). (2003)