2002 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒2色パルス光を用いた時間分解施光分散測定法の開発と血糖測定への応用
Project/Area Number |
13750045
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安井 武史 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (70314408)
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Keywords | 血糖値 / フェムト秒パルス光 / グルコース / 干渉 / 散乱光 / 旋光性 / 屈折率 |
Research Abstract |
光学的血糖測定法は、糖尿病患者の血糖値測定(血中グルコース濃度)を非観血化する有力な手段として期待されている一般に血液は強い光散乱体であるが、従来の光学的血糖測定では血中散乱効果を考慮していなかったため、十分な精度が得られていなかった。このような問題を解決するために、フェムト秒パルス光を用いた散乱光除去型血糖測定法に関する研究を行った。 (1)フェムト秒2色パルス光の利用 グルコース溶液に赤色と青色の超短パルス光を同時に入射すると(フェムト秒2色パルス光)、屈折率分散により青色パルス光が赤色パルス光より遅れて出射される。この時間遅延量がグルコース濃度に依存することを利用して、血糖測定を行った。その結果、測定精度は118.3mg/dl、感度は222(mg/dl)/fsであった。散乱光除去に関しては生体レベルの1/2まで測定できたが、それ以上では青色パルス光の散乱現象が顕著になるため測定できなかった。また、従来の干渉計測で問題とされた外乱の影響が準共通光路配置によりキャンセルできた。 (2)フェムト秒単色パルス光の利用 グルコース溶液に赤色超短パルス光を入射すると、その通過に要する時間はグルコース濃度に依存して変化するので、これを利用して血糖測定を行う。本手法では、グルコース濃度依存がフェムト秒2色パルス光を用いた場合よりも10倍大きいため123[mg/dl)/fs]、高精度な測定(3.8mg/dl)が可能となった。散乱光除去に関しては、散乱効果が比較的小さな赤色単色パルス光の利用により、生体レベルの散乱体入りグルコース溶液での測定が可能となった。 一方、直線偏光の赤色パルス光をグルコース溶液に入射すると、偏光面がグルコース濃度に依存して回転する。このような旋光特性を利用して血糖測定を行ったところ、測定精度63.4mg/dl、感度36(mg/dl)/mdegが得られた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yasuaki Hon, Takeshi yasui, Tsutomu Araki: "Femtosecond two-color pulse interferometry for the measurement of glucose concentration"Proc.SPIE. 4829. 539-540 (2002)
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[Publications] 堀泰明, 安井武史, 荒木勉: "フェムト秒2色パルス干渉法を用いたグルコース濃度測定法の開発"第15回バイオエンジニアリング講演会講演論文集. 121-122 (2003)