2001 Fiscal Year Annual Research Report
球状マイクロソーラーセルによる医療用陽子線の線量測定に関する基礎的研究
Project/Area Number |
13750053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
納冨 昭弘 筑波大学, 物理工学系, 講師 (80243905)
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Keywords | 陽子線治療 / 球状マイクロソーラーセル / 「その場」測定 / 線量分布 |
Research Abstract |
放射線治療において、患部に投与される放射線の実際の線量(分布)を測定する技術の実用化は長年の夢であるが、未だに達成されていない。特に放射線の中で、陽子線・炭素線等の粒子線は、従来の光子線に比べて線量の空間的集中性に優れているので、実際の線量集中度を直接的に確認する手段が切望されている。 治療部位の線量測定を実現するには、センサーを患部に埋め込むことが最も直接的で確実な方法であろうと考えられるが、その様なことができるセンサーは(特に深部臓器に適用可能なものは)これまで世の中に存在していなかった。一方、京都セミコンダクター社が開発を開始している「球状マイクロソーラーセル」は、超小型の太陽電池であるが一種のホトダイオードであり、陽子線がそのpn接合部を通過することにより信号を発生すると期待される。 本研究で用いるマイクロソーラーセルは、直径が1mm以下であり、原理的には更に小型化が可能である。その為、患部に直接挿入できる可能性がある。本年度の開発課題は,陽子線用のマイクロソーラーセルの試作とその特性評価であった。しかし、センサー用に特化したマイクロソーラーセルの試作に時間がかかり予定した実験ができなかった。そこで、現存する素子の陽子線に対する応答特性を調べた。指頭型電離箱との比較実験の結果、マイクロソーラーセルの出力電荷および起電力は、陽子線の水吸収線量と比例関係にあることが確認できた。更に、素子の出力は陽子線ビームの方向にほとんど依存しないことが分かった。以上の結果は、日本原子力学会の口演会で発表を行った。また、これと並行して、来年度の開発課題である、信号読み出し手法に関する検討を行い、プロトタイプの設計・試作を行った。
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