2002 Fiscal Year Annual Research Report
非線形偏微分方程式系に対する差分解法を導出する離散変分法の開発,解析および応用
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13750060
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
降籏 大介 大阪大学, サイバーメディアセンター, 助教授 (80242014)
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Keywords | 非線型偏微分方程式 / 離散変分法 / 保存則 / 差分法 / 高次差分 / Cahn-Hilliard方程式 |
Research Abstract |
本年度の目的は,初年度の研究結果をふまえた上で離散変分法を多くの非線形偏微分方程式に適用し,その結果得られる数値スキームを理論的に解析するとともに実際に数値計算を行ない,各方程式の数値実験結果を必要とする分野へ貢献することであった.この目的に対して研究を行なった結果,いくつかの新しい知見が得られた. まず年度の前半にその性質がよく調べられている方程式を中心に離散変分法を適用して研究を行なった.これらの方程式に対しての多くの研究が数値スキームの性質も解析しているため,離散変分法を適用した結果と比較が可能であり,これは離散変分法の適用性の検証を行なうことにもなった.この過程で,非線形性が多項式で表現されるような場合はtime-multistage化とよばれる手法により非線形性のオーダを下げられることに注目し,離散変分法と組み合わせることにより,安定かつ線型な差分スキームを構成できる可能性を見いだした.Time-multistage化は非常に強い数値不安定性を伴うため通常は利用できないが,離散変分法のもたらす安定化効果の方が支配的な差分スキームを構成できれば,安定性と線形性の両方が同時に実現できるのである.この結果,Cahn.Hilliad方程式やEguchi-Oki-Matsumura方程式に対して実際に線型かつ無条件安定な差分スキームを構成し,その性質を数学的に証明することにも成功した. また,後期研究では,その性質が良く知られていないが離散変分法の適用対象となる非線形偏微分方程式を中心に,離散変分法を適用して研究を行ない,これらに関しても非線形性の強さに着目して分類することにより離散化が可能になる萌芽的な結果を得られつつある. 以上の結果より,本年度は当初の計画に見込まれた多くの結果が得られたと評価できると考えるものである.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Matsuo, M.Sugihara, D.Furihata, M.Mori: "Spatially accurate conservative or dissipative finite difference schemes derived by the discrete variational method"Japan Journal of Industrial and Applied Mathematics. 19・3. 311-330 (2002)
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[Publications] D.Furihata, T.Matsuo: "A Stable, Convergent, Conservative and Linear Finite Difference Scheme for the Cahn-Hilliard Equation"Japan Journal of Industrial and Applied Mathematics. 20・1. 65-85 (2002)