2002 Fiscal Year Annual Research Report
先進ガスタービン用熱遮へいコーティングの余寿命評価と長寿命化
Project/Area Number |
13750067
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小川 和洋 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50312616)
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Keywords | インピーダンス・スペクトロスコピー / 熱遮へいコーティング / in-situ計測 / 熱成長酸化層 / ガスタービン / 高温環境下 |
Research Abstract |
本研究において,熱遮へいコーティング(TBC)劣化の主要因と考えられるTBC/MCrAlYボンドコート界面の熱成長酸化物(TGO)の生成・成長挙動を評価した.トップコートであるイットリア安定化ジルコニア(YSZ)の存在によりYSZ/MCrAlY界面の酸化分圧がYSZの無いMCrAlYのみの表面に比べ低く,原子空孔の多いアルミナが生成することを突き止めた.それに伴い,Co, Ni, Crの酸化物層が生成しやすくなり,これらの酸化物が多くの気孔を含むことから,それが主因となり界面はく離を起こすことがわかった.YSZ有無材に対し1000℃,3000時間の時効処理を施した試験片においては,Co, Ni, Crの平均酸化物層厚さがYSZ無材の3μm弱からYSZ有材の約7μmと2倍以上の顕著な差が現れた.本結果は,YSZの酸素分圧をYSZの密度や組成の変化により制御できれば,TBC劣化の主要因と考えられるCo, Ni, Crの酸化物層を抑制することができ,TBC寿命向上の一助となる. また,気孔の多寡や層の緻密さは導電率や比誘電率等の電気的特性が支配的であり,これらの物性を評価可能なインピーダンス・スペクトロスコピー法を用い,TBC/MCrAlY界面の酸化挙動をモニタリングし,各種物性値と酸化挙動の関係を評価した.インピーダンス計測は,実機タービン一段動翼の表面温度を模擬し,1,000〜1,100℃の高温環境下で実施した.この際,得られたインピーダンス特性と等価回路モデルから逆問題解析を実施した.解析の結果,1000℃以上の高温環境下では,TBC劣化の等価回路に拡散の影響を考慮したWarburgインピーダンスを導入する必要があることがわかった.Warburgインピーダンスを考慮し,経年劣化によるTGOの物性値変化および厚さを評価した結果,感度の良い非破壊評価が可能となった.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 加藤俊樹, 小川和洋, 庄子哲雄: "耐はく離性に優れた熱遮へいコーティングの開発"溶射. 39巻・2号. 275-280 (2002)
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[Publications] Kazuhiro OGAWA, Noritake GOTOH, Tetsuo SHOJI: "GROWTH KINETICS OF THERMALLY GROWN OXIDE IN THERMAL BARRIER COATINGS"Proceedings of Advanced Materials and Processes for Gas Turbines. (in press). (2002)
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[Publications] 小川和洋: "インピーダンス・スペクトロスコピーによる非破壊検査"非破壊検査. 51巻・5号. 275-280 (2002)
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[Publications] 小川和洋: "YSZ/MCrAlYCeSi熱遮へいコーティングの高温酸化挙動"溶射技術. 22巻・2号. 37-44 (2002)
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[Publications] O.Solonenko, A.Mikhalchenko, E.Kartaev, K.Ogawa, T.Shoji: "Model Studying Zirconia Droplet Deposition and Solidification on Substrate Under Plasma Spraying"The fifth JSME-KSME Fluids Engineering Conference Abstract. (CD-ROM). (2002)
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[Publications] 小野木伯薫, 主森哲郎, 小川和洋, 橋田俊之, 庄子哲雄, 円山政秀, 富樫博之, 鳥越泰治: "熱遮蔽コーティングの界面はく離挙動に及ぼす熱時効処理の影響"材料. (印刷中).