2001 Fiscal Year Annual Research Report
複合表面改質処理によるフレッティング疲労特性の改善と破壊機構の解明
Project/Area Number |
13750074
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
岡根 正樹 富山大学, 工学部, 助手 (90262500)
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Keywords | フレッティング疲労 / WC-Co / HVOF / 溶射処理 / 疲労強度 / 疲労寿命 / NiCrMo鋼 |
Research Abstract |
フレッティング疲労は,各種の機械構造物の接触部で発生するわずかな表面損傷を起点とする疲労破壊過程である.本研究では,有効な耐フレッティング疲労表面処理法を検討することを目的とし,新しい溶射法である高速フレーム溶射(HVOF)を用いて高強度鋼の表面に耐摩耗性に優れる炭化タングステン(WC)を溶射した被覆材のフレッティング疲労特性を検討する.本年度は,初年度であり本研究にあわせた現有疲労試験機の改良と,有効な耐フレッティング疲労表面処理方法を検討するために必要不可欠な,供試材(NiCrMo鋼JIS SNCM439鋼およびWC溶射鋼)の基本的な疲労強度特性とフレッティング疲労強度特性に関する調査を行った.得られた主な結果をまとめると,下記の通りである. (1)現有の疲労試験機を改良した新しいフレッティング疲労試験装置は,本研究を遂行する上で必要十分な性能を有し,特に実験結果を左右する試験片と接触片の接触状態を極めて正確かつ均一に保てることが可能となった. (2)炭化タングステンを溶射処理した試験片の通常疲労寿命(強度)は,溶射処理を施していない未処理材のそれらに比べ,低下する傾向を示した.これは,溶射の前処理として皮膜の密着性を高めるために行うブラスト処理により生じる基材と皮膜界面の凹凸が疲労き裂の発生起点となったためである.また,わずかではあるが,ブラスト処理の際に用いるアルミナ粒子が界面に残留しており,そのような場合には,そのアルミナ粒子が疲労き裂の発生起点となる場合もあった. (3)WC溶射材のフレッティング疲労試験を行った結果,試験中に測定される接触面間の接線力(摩擦力)は,未処理材のそれらに比べて著しく小さな値を示した.接線力の大きさはフレッティングき裂の発生条件を大きく左右することから,耐フレッティング疲労対策としてのWC溶射処理の有効性が示唆された.
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