2001 Fiscal Year Annual Research Report
原子間力顕微鏡の固体表面像分解能と二次元量子摩擦現象の解明に関する研究
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13750113
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
清水 淳 茨城大学, 工学部, 助手 (40292479)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / 摩擦力顕微鏡 / 分子動力学法 / カンチレバ / 剛性 / プローブ / 固体表面像 / スティックスリップ |
Research Abstract |
本研究は、原子間力顕微鏡(AFM)による固体表面観察においてプローブと固体表面との間に生ずる原子間相互作用を、カンチレバの剛性を考慮した分子動力学シミュレーションを通じて動力学的に明らかにすることを目的としている。 平成13年度は、摩擦力顕微鏡的な使用をした場合における現象に着目し、解析を行なった。そこでは、プローブ先端形状が反作用力像とプローブの運動挙動に及ぼす影響を明らかにするため、単純比較として1ダイヤモンド格子の{100}面で摩擦する場合と1炭素原子で摩擦する場合を仮定し、銅{100}面のスキャンプロセスを解析した。さらに、スキャン方向、表面欠陥(点欠陥)の有無による影響を検討した。得られた成果を以下に示す。 1 単原子と1格子プローブによる摩擦力像と横方向力像は表面の周期性からよく似たものが得られるが局所的には違う。単原子と1格子プローブによる反作用力の変動は1格子プローブの方が小さくなる。プローブ先端形状により垂直力像が大きく変わる。それらを参考にプローブ先端形状を判別できる。 2 摩擦力顕微鏡的な使用法で実験した場合と同様に、シミュレーションでもスキャン方向に対応して反作用力像が変化する。 3 単原子プローブを用いた場合、スキャンが点欠陥近傍にさしかかると、明確な像の異常を生じるため、その領域に欠陥が存在することを予測可能であるが、1格子プローブでは大きな異常は現れないため、欠陥の存在の予測は因難である。 4 研究成果は国際会議10th ICPE(Yokohama),WTC2001(Austria)、その他に国内の諸学会等で発表された。10th ICPEの発表論文は「Outstanding poster award」を受賞し、WTC2001の発表論文は学術誌「Tribotest Journal」に論文としてセレクトされた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] J.Shimizu, L.Zhou, H.Eda: "Simulation Analysis of Contact Process in AFM Surface Observation"Tribotest Journal. 8・(掲載予定). (2002)
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[Publications] J.Shimizu, H.Eda, L.Zhou: "Molecular Dynamics Simulation on Dependence of Atomic-Scale Stick-Slip Phenomenon upon Probe Tip Shape"Initiatives of Precision Engineering at the Beginning of a Millennium(Proc.Int.Conf.10th ICPE,Yokohama). 759-763 (2001)
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[Publications] J.Shimizu, L.Zhou, H.Eda: "Simulation Analysis of Contact Process in AFM Surface Observation"Proc.2nd World Tribology Congress,WTC2001,Austria. (M-12-22-157-SHIMIZU.pdf). (2001)
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[Publications] J.Shimizu, H.Eda, L.Zhou, T.Asano, Y.Nakazawa: "Microscopic Analysis of Friction Phenomena in Surface Observation by Atomic Force Microscope"Proc.Int.Tribology Conf.,ITC2000,Nagasaki. 687-692 (2001)
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[Publications] H.Eda, L.Zhou, H.Nakano, R.Kondo, J.Shimizu: "Development of Single Step Grinding System for Large Scale φ300 Si Wafer:A Total Integrated Fixed-Abrasive Solution"Annals of the CIRP. 50・1. 225-228 (2001)
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[Publications] 江田 弘, 周 立波, 中野博民, 近藤 良, 清水 淳, 田島琢二: "大口径φ300mmSiウエハ用超加工機械の開発"精密工学会誌. 67・10. 1693-1697 (2001)