2001 Fiscal Year Annual Research Report
光電流増倍現象を利用した電流注入制御型有機トランジスター
Project/Area Number |
13750276
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中山 健一 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20324808)
|
Keywords | 有機トランジスター / 光電流増倍 / 有機半導体 / 有機 / 金属界面 |
Research Abstract |
本研究の目的は、有機半導体薄膜デバイスにおいて観測される光電流増倍現象(光電流量子収率が100%を越える現象)のメカニズムを応用することにより、全く新しい動作原理に基づく有機トランジスターデバイスを開発することにある。この光電流増倍現象は、光生成したホールが有機/金属界面に蓄積することで大量のトンネル電子注入が引き起こされ、その結果として光電流が大幅に増幅される現象である。ここで、この光生成ホールに相当する電荷を有機薄膜中に挿入した第3の電極から供給することができれぱ、わずかな電流を大量の電流に増幅するトランジスターデバイスとして動作することが期待できる。 申請者らは、光電流増倍を示す有機半導体であるペリレン顔料の蒸着膜中に、100μmピッチのストライプ状アルミ電極を挿入した3端子デバイスを作成し、べース電流変化に対するコレクター電流の変化量を測定した。その結果、最大で25倍程度の電流増幅率を得ることができ、トランジスターとしての動作を確認することに成功した。このような電流増幅が、光電流増倍現象を示す材料でしか観測されないことから、トランジスター作用は上記の電荷注入メカニズムによって起こっていると考えられる。また、本デバイスのもう一つの特徴である光電流増倍特性(フォト・トランジスター特性)を、べース電極の電圧によって変調することを試みた。その結果、吸収フォトン数に対する光電流キャリア数の比率である光電流増倍率を、5Vのべース電圧印加によって24000倍から28000倍に変調することができた。
|