2001 Fiscal Year Annual Research Report
GaN HEMTにおける高電界現象の顕微エレクトロルミネッセンス分光解析
Project/Area Number |
13750305
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大野 雄高 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (10324451)
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Keywords | GaN HEMT / 高電界現象 / エレクトロルミネッセンス / 衝突イオン化現象 / 表面準位 / 電流コラプス / 顕微ラマン分光 / 温度 |
Research Abstract |
本研究は、高周波・高出力素子として期待されている窒化ガリウム高電子移動度トランジスタ(GaN HEMT)について、その高耐圧化および高出力化の指針を得ることを目的とした。素子動作時における高電界領域の形成機構とキャリアの振舞いを顕微エレクトロルミネッセンス分光法により調べるとともに、出力低下の原因となる電流コラプスの問題について電気特性評価と光照射実験から解析した。さらに、高出力動作時に重要な熱伝導機構を調べるため、顕微ラマン分光法による局所的温度測定法を確立した。 主要な成果は以下の通りである。 1.高電圧を印加したGaN HEMTにおいて、通常のGaAs HEMTとは異なり、ドレイン電極端で発光を観測し、ドレイン電極端に高電界領域が形成されていることを明らかにした。 2.高電界領域の形成機構を、表面準位に捕獲された電子による空乏層電荷の補償で説明した。 3.高電界発光が偏光特性をもつことから、発光機構が制動放射であることを明らかにした。 4.負の大きなゲート電圧ストレスにより、深刻な電流コラプスが起こることを見出した。 5.その原因として、サイドゲート効果やしきい値変化がないことから、AlGaN障壁層の深い準位や基板-エピ界面の界面準位ではなく、表面準位が関与していることを明らかにした。 6.ドレイン-ゲート電極間に光照射を行うことによりコラプスが小さくなることを見出し、ドレイン-ゲート電極間の表面準位が電流コラプスに関与していることを明らかにした。 7.電流コラプスの機構を仮想ゲート電極の概念により説明した。 8.GaNのラマンスペクトルが温度に依存することに着目し、顕微ラマン分光法を用いて素子の局所的な温度測定法を確立し、その有効性を明らかにした。 9.ドレイン側のゲート電極端で高温領域が存在することを明らかにした。 10.素子温度が消費電力に比例することを見出すとともに、熱抵抗を評価したところ、ほぼサファイア基板の広がり抵抗と等しいことを明らかにした。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Y. Ohno, T. Nakao, M. Akita, S. Kishimoto, K. Maezawa, T. Mizutani: "Electroluminescence in AlGaN/GaN HEMTs"Int. Phys. Conf. Series. (印刷中). (2002)
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[Publications] H. Makihara, M. Akita, Y. Ohno, S. Kishimoto, K. Maezawa, T. Mizutani: "The Low-Frequeucy Noise Characteristics of AlGaN/GaN HEMTs"Int. Phys. Conf. Series. (印刷中). (2002)
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[Publications] T. Nakao, Y. Ohno, M. Akta, S. Kishimoto, K. Maezawa, T. Mizutani: "Electroluminescence Distriuion in AlGaN/GaN High Electron Mobility Transistors under High Bias Votlage"Jpn. J. Appl. Phys.. 41,4A(印刷中). (2002)
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[Publications] Y. Ohno, M. Akta, S. Kishimoto, K. Maezawa, T. Mizutani: "Temperature Distribution Measurement in AlGaN/GaN High-Electron-Mobility Transistors by Micro-Raman Scattering"Jpn. J. Appl. Phys.. 41(印刷中). (2002)