2001 Fiscal Year Annual Research Report
デカナノ電界効果トランジスタの分子動力学的手法による電気伝導シミュレーション
Project/Area Number |
13750309
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鎌倉 良成 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70294022)
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Keywords | 電界効果トランジスタ / デバイスシミュレーション / モンテカルロ法 / 分子動力学法 / 移動度 / 電子-電子散乱 / イオン化不純物散乱 / シリコン |
Research Abstract |
本年度は、分子動力学/アンサンブルモンテカルロシミュレーション(MD/EMC)法を微細半導体デバイスの電気伝導シミュレーションに適用する際のメリット・デメリットを明確化した。結果、Si-MOSFETにおいて電子濃度の薄い弱反転領域では、高精度なシミュレーションが期待できるが、強反転領域については、顕在化する量子効果のため、今後何らかの工夫が必要となることがわかった。今回例題として、MOSFET閾値近傍における反転層電子移動度の低下、すなわち移動度ロールオフ現象の再現を試みた。具体的には、計算機上に想定した仮想空間内部に、点電荷(基板不純物・反転層電子)をランダムに配置、チャネル水平方向(ドレイン電界)および垂直方向(ゲート電界)の一定電界を印加した上で、系内部の電子挙動を長時間追跡した。電子には、外場のほか、イオン化不純物および他の電子からのクーロン力を作用させ、それら多数の合成力のもと、ニュートン方程式に従って運動させた。一方、電子-フォノン散乱については従来のMC法を用いて確率的に生起させた。計算結果には、電子移動度が電子濃度とともに上昇する傾向がはっきりと現れ、イオン化不純物電荷に対する電子の遮蔽効果がMD/EMC法で正しく反映されることを証明することができた。今回の結果から、本手法が、電子濃度が薄く遮蔽効果の弱い半導体デバイス内部の電子伝導シミュレーションに対し、有効であることが分かった。
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