2001 Fiscal Year Annual Research Report
CDMA通信における周期定常性を利用した信号分離法に関する研究
Project/Area Number |
13750323
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
宮嶋 照行 茨城大学, 工学部, 講師 (00261743)
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Keywords | 符号分割多元接続通信 / 周期定常性 / 適応アレイアンテナ / ブラインド信号処理 / スペクトル拡散通信 / 多元接続干渉除去 |
Research Abstract |
複数の互いに干渉しあっている独立な信号を,特別な知識無しで分離する問題はブラインド信号分離として知られ,様々な分野で現れる問題である.通信の問題を考えた場合,信号を分離する手法として信号の持つ周期定常性を利用した手法が興味深い.従来のSCOREアルゴリズムでは,同じ周期定常性を持つ信号を分離できないという欠点があり,またCastedo等の手法では,適用できる信号波形に制限があることが欠点であった. そこで本研究では,適応アレイアンテナによるCDMA信号の分離問題を検討対象とし,アレイアンテナの調整に周期定常性を利用する新しい手法を提案し,その性能を評価した.提案手法は,ある周期定常性を有する信号と,それをτだけ時間シフトした信号の積が,周波数αにおいて線スペクトルを有するという事実を利用したものである.特別な場合としてCastedo等の手法を含む点が興味深い. まずシミュレーションを行った.複数の信号から一つの希望信号のみを分離する問題を検討し,参照パラメータ(α,τ)をうまく選ぶことで,従来の手法では分離できなかった信号が分離できることを確認した.さらに,複数の信号すべてを分離するために,マルチステージアレイを利用することについて検討し,複数の信号がうまく分離できることを確認した.次に,提案する評価関数の解析を行った.提案アルゴリズムにより,ある一つの信号のみが分離できるための必要十分条件を導いた. CDMAでは,各ユーザが用いる拡散符号や各ユーザにより要求された伝送速度/品質に応じて,送信信号が周期定常性を持つので,本手法が非常に効果的に適用できると考えられる.今後は,マッチドフィルタを利用した場合の性能評価,マルチパス環境での性能評価,周期定常性の性能への影響などを検討する予定である.
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