2001 Fiscal Year Annual Research Report
カオス発生回路を結合したネットワークに生じるカオス的遍歴現象に関する研究
Project/Area Number |
13750356
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
西尾 芳文 徳島大学, 工学部, 助教授 (80253227)
|
Keywords | カオス / 非線形回路 / カオス的遍歴 / カオス同期 / マルコフチェーン / 結合発振器 / 複雑系 |
Research Abstract |
本研究では、カオス発生回路の結合系にみられる様々なカオス的遍歴現象についての解析を行った。 まず、カオスを発生する簡単な電気回路を4個結合した系を作成し、発生するカオス擬似同期の遍歴現象の調査を行った。カオス的遍歴現象を統計的に処理するために、発生している位相状態を判別する必要がある。本研究では、状態変数からカオス信号の位相に対応する補助変数を導出し、その大きさにより位相状態を定義した。さらに精度を上げるために、中間位相状態を導入した場合と、ヒステリシス判定を用いた場合について、位相の判定がどの様に変化するかの調査も行った。これにより、位相状態が切り換わる回数、ある位相状態に留まる時間の確率分布などの統計量を得ることができた。 次に、カオス的遍歴のマルコフチェーンによるモデリングを行った。シミュレーションにより得られた位相状態の切り換わり回数より、位相状態間の遷移確率を求め、それを基にマルコフチェーンモデルを作成した。シミュレーション結果との比較により、一次マルコフモデルでは不十分であるが、二次マルコフモデルでは、実際の現象を精度良く説明できることを明らかにすることができた。本研究の成果は、極めて複雑な連続時間カオスの遍歴現象が、簡単な確率モデルで説明できる場合があることを示している。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Y.NISHIO: "Chaotic Wandering and its Analysis in Simple Chaotic Circuits"IEICE Trans. Fundamentals. E85A, 1. 248-255 (2002)
-
[Publications] J.KAWATA: "Synchronization and its Analysis in Chaotic Systems Coupled by Transmission Line"IEICE Trans. Fundamentals. E84A, 12. 3099-3107 (2001)
-
[Publications] Y.HOSOKAWA: "Analysis of Chaotic Phenomena in Two RC Phase Shife Oscillators Coupled by a Diode"IEICE Trans. Fundamentals. E84A, 9. 2288-2295 (2001)
-
[Publications] Y.NISHIO: "Marlcov Chain Modeling of Chaotic Wandering in Simple Coupled Chaotic Circuits"Proc. ECCTD'01. 2. 105-108 (2001)
-
[Publications] Y.NISHIO: "Statistical Analysis of Chaotic Wandering in Simple Coupled Chaotic Circuits"Proc. ITC-CSCC'01. 2. 1034-1037 (2001)
-
[Publications] Y.NISHIO: "Phase Synchronization in a Ring of Chaotic Circuits"Proc. NOLTA'01. 1. 163-166 (2001)