2001 Fiscal Year Annual Research Report
多ピクセル化を目的とした高エネルギー分解能X線マイクロカロリーメータの開発
Project/Area Number |
13750398
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
工藤 寛之 早稲田大学, 理工学部, 助手 (70329118)
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Keywords | X線 / カロリーメータ / MEMS / フォトンカウンティング |
Research Abstract |
X線マイクロカロリーメータのイメージング応用のためのアレイ集積化において、従来非常に大きな障壁となっていたのは集積化されたセンサ上への均一なX線吸収体形成技術であった。 この問題を解決するため、我々はフォトレジストモールディングによる電析を用いて、X線マイクロカロリーメータのマイクロ構造体上にスズのX線吸収体を均一に形成する方法を開発した。これにより、全工程をウエハレベルプロセスによってX線マイクロカロリーメータを形成することに成功した。 本プロセスでは、厚さ200μmのn型シリコン基板上にTES(Transition Edge Sensor)と呼ばれる温度センサ、超伝導配線、熱絶縁構造体を形成した後、基板表面に多層フォトレジストを用いたモールドを形成し、モールド上に電析によってX線吸収体を形成する。その後に表面を研磨することで表面を平坦にし、また、吸収体の厚みを均一にすることができた。 また、TESの超伝導転移特性(温度-抵抗特性)を改善するため、チタンゲッタリングを行うことで10-6Pa以上の高真空に到達可能な電子ビーム蒸着装置を用いて、チタン-金の2層膜を形成し、転移温度490mK、転移温度幅6mKという良好な特性を得ることができた。 この結果を従来の10-4Pa程度の真空度で蒸着した場合と比較することによって、超伝導薄膜の超伝導転移特性が成膜時の真空度と膜厚に依存することを示している。 この結果、より薄い膜でTESを形成できるようになり、熱容量を下げることでカロリーメータの性能を向上することができた。 今後は、基板フィードスルー配線技術を用いた3次元配線などによる配線のクロストークやノイズの低減を実現し、X線マイクロカロリーメータのアレイ集積化を行っていく。
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