2002 Fiscal Year Annual Research Report
複雑結合非線形システムのローカルとグローバルな設計のシームレスな統合
Project/Area Number |
13750422
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 博 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (70274561)
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Keywords | 非線形システム / ロバスト制御理論 / 非線形補償器 / 制御系設計 / システム安定論 |
Research Abstract |
本課題最後の本年度は、非線形システムの設計においてローカルとグローバルな特性をシームレスに統合することを目標に、本課題最大のアイディアである「状態依存型スケーリング」について、1)状態依存型スケーリングに埋め込み可能な自由度を理論的に明らかにし、2)その自由度を利用してグローバルな性能を持つ非線形コントローラの候補中から適切な局所的性質を持つ特殊解を選ぶ方法を開発する、ことに取り組んだ。 ローカルとグローバルな特性を融合する基礎理論は、状態依存型スケーリングとその拡張という形で整備することができた。本年度はその土台をコントローラ設計へと発展させるための活用理論を構築した。その研究の過程で、非線形的なゲイン尺度を新たに考案し、それをうまく導入することに成功した。非線形性の強いダイナミクスや結合で特徴付けられる本質的に複雑な非線形システムには、非線形な尺度の活用が不可欠であり、非常に有効であることが判明した。これにより、制御対象が平衡点近傍外で非常に複雑な非線形特性を持っていても、コントローラ設計において、全体の領域で線形のように均一な特性をもち、平衡点ではローカルな線形制御と完全に一致するような、まさに「複雑結合非線形システムのローカルとグローバルな設計のシームレスな統合」を確立するための道具がそろった。システムの安定性や外乱抑制性能は、非線形尺度を導入しても状態依存型スケーリングに関して凸な形で定式化できた。この重要な性質によって最終的に、ローカルとグローバルの統合設計を効率的な数値計算に結びつけることが可能となった。その有効性は、実際に数値例によって期待通り確認できた。いわゆる解析的非線形手法が数値計算に不向きで手におえなかった制御設計問題でも、開発した設計法に基づけばパーソナルコンピュータを用いた数値計算により統一的に非線形コントローラの設計を行えるだけでなく、「線形コントローラが達成するローカルな応答と非線形コントローラが保証するグローバルな特性を連続的に接続すること」ができるようになり、有用性の非常に高い制御設計を可能にすることができた。 このようにして得られた全ての研究成果は、速報として国内および国外の研究集会・会議で発表し、さらに外国論文誌へ投稿した.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hiroshi Ito: "Effectiveness of multirate input control in deadbeat servomechanism"European Journal of Control. 4. 326-342 (2002)
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[Publications] Hiroshi Ito: "Reduced-order partial-state feedback for robust nonlinear control using state-dependent scaling"American Control Conference. 20. 3492-3497 (2002)
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[Publications] Hiroshi Ito: "A constructive proof of ISS small-gain theorem using generalized scaling"IEEE Conf.Decision Control. 41. 2286-2291 (2002)
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[Publications] Hiroshi Ito: "State-dependent scaling characterization of stability and performance for nonlinear interconnected systems"IEEE Conf.Decision Control. 41. 3937-3943 (2002)