2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13750449
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Research Institution | Fukushima National College of Technology |
Principal Investigator |
緑川 猛彦 福島工業高等専門学校, 建設環境工学科, 助教授 (50249744)
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Keywords | 高流コンクリート / 粉体成分 / 凝集分散 / フレッシュ性状 / 定量的評価 / 高性能減水剤 / 石灰石微粉末 / 実績率 |
Research Abstract |
本研究では,高流動コンクリートのフレッシュ性状に大きな影響を及ぼす粉体成分の凝集・分散の挙動,高性能減水剤の効果さらには高流動コンクリートの配合設計モデルの構築について研究を進めてきた.粉体の凝集や分散などの挙動を物理的モデルにより定量的に評価することを自的とし,F de Rarrardらの提案している実績率計算モデルを用いて検討を行った.さらに,高性能減水剤の種類が変化した場合の凝集・分散の効果を構築したモデルにより比較した.また,高流動コンクリートの配合設計モデルとして既に提案している水膜モデルを発展させ,コンクリートの基本配合から水量や高性能減水剤量までを算定できる手法の構築を行った.本研究範囲内で得られた知見を以下に箇条書きで記す. (1)高流動モルタルのフレッシュ性状に及ぼす高性能減水剤の効果を確認するために,高性能減水剤添加率や水粉体体積比を様々に変化させたモルタルのフロー値やV漏斗流下時間の変化を測定した.その結果,高性能減水剤添加率は主にフロー値に関係し水粉体体積比はフロー値とV漏斗流下時間の両方に関係することが確認された. (2)モルタル中の粉体の凝集・分散挙動を定量的に評価するために,減水剤添加率や水粉体体積比を様々に変化させたモルタルのブリーディング試験を行った.その結果,高性能減水剤添加率を増加させることによりブリーディング後の固体粒子の実積率が増加することとなったが,水粉体体積比を増加させたケースにおいては実積率に変化が見られなかった. (3)配合を様々に変化させたモルタルのブリーディング試験の結果を用いて,細骨材と粉体が混合された場合における実積率の算定を行った.混合粒状体の実積率の算定についてはF de Rarrardの「The Compressible Packing Model」がある.このモデルに粉体と細骨材の結果を適用したところ,粉体と粒体の混合にもCPMが適用可能であることや,CPMを用いて逆解析することにより実積率から粉体粒子の直径が推定できることが明らかになった.したがって,凝集・分散挙動を粒子直径の変化として捉えることにより定量的な評価の可能性が示唆された. (4)高流動コンクリートの単位水量を算出することができる水膜モデルとCPMを用いることにより,高流動コンクリートの合理的な配合設計モデルの構築を試みた.その結果,使用材料の物理的特性(粒径,実積率等)と基本配合(細骨材容積比等)から高流動コンクリートの配合を算定できるモデルを構築することができた.本モデルを過去の実験値に適用したところ,いままでの経験から得られた現象を上手く表現することができることが明らかになった.
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[Publications] 緑川猛彦, Galia I.Pelova, Joost C Walraven: "粒度分布の異なる細骨材を用いた高流動モルタルへの水膜モデルの適用"コンクリート工学年次論文報告集. Vol.23,No.2. 943-948 (2001)
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[Publications] Takehiko MIDORIKAWA, Galia I.Pelova, Joost C.Walraven: "APPLICATION OF "THE WATER LAYER MODEL" TO SELF-COMPACTING MORTAR WITH DIFFERENT SIZE DISTRIBUTION OF FINE AGGREGATE"Proceedings of The Second International Symposium on Self-Compacting Concrete. 237-246 (2001)
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[Publications] 吉田昌由, 櫛田卓也, 緑川猛彦: "モルタルのフレッシュ性状に及ぼす粉対粒子の凝集・分散の影響"平成13年度土木学会東北支部技術研究発表会講演概要. 640-641 (2002)
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[Publications] 櫛田卓也, 吉田昌由, 緑川猛彦: "石灰石微粉末を用いたモルタルにおける粉体粒子個数の定量化"平成13年度土木学会東北支部技術研究発表会講演概要. 642-643 (2002)