2001 Fiscal Year Annual Research Report
気象変化に伴う連結汽水湖間での流出入の特性と水質場に及ぼす影響
Project/Area Number |
13750495
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | Kure National College of Technology |
Principal Investigator |
黒川 岳司 呉工業高等専門学校, 環境都市工学科, 講師 (50325148)
|
Keywords | 連結系汽水湖 / 気象変化 / 高塩分水塊 / DO / 塩水遡上 / 密度躍層 / 貧酸素水塊 / 潮汐 |
Research Abstract |
わが国を代表する汽水湖である中海と宍道湖を結ぶ大橋川では,気圧変化や洪水などによって変化する水位差に基づいて流向が決定している.通常,大橋川では天文潮の影響を受けた往復流が生じているが,低気圧接近時などでは中海下層の貧酸素化した水塊が大規模に遡上し,洪水時には宍道湖から中海への流れが生じている.このような流れによって宍道湖の密度場,水質場は影響を受けているが,これらの流動は複合して起き,さらに二層状態であるため複雑な挙動を示している.また,気圧変化や洪水回数は季節的な傾向を持つため,宍道湖の水質も季節的に変化している.そこで,各気象イベントに伴った短期的な流出入と季節的な長期変化について検討を行った.特に中海下層の貧酸素水塊が大橋川・宍道湖に流入する外力条件と,大橋川に逆流入した高塩分水塊の挙動について検討し,次のような知見を得た,(1)気象平穏時では,中海から大橋川に中海上層の水塊が天文潮によって流入し,中海下層の高塩分水塊が大橋川河口付近の浅水部を乗り越えて大橋川に流入することはできない.ただし,低気圧通過などに伴う西〜西北西の風によって大橋川河口付近の密度界面が上昇した場合,中海下層の高塩分水塊が大橋川に流入する.(2)大橋川に流入した高塩分水塊は天文潮による大きな水位差でも5km前後しか遡上せず,1潮汐間に中海境界部から遡上してきた高塩分水塊は宍道湖まで達することは稀である.(3)したがって,中海・大橋川からの高塩分水塊の宍道湖への遡上条件は,気圧低下などの作用により,宍道湖水位に対して中海水位の高い状態が継続すること,中海水位が高い間に複数回の満潮を迎えること,この問,満潮と干潮による水位変動が小さいことなどが挙げられる.
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 福岡捷二, 松下智美, 三浦心, 黒川岳司, 船橋昇治, 中村幹雄: "連結系汽水湖における塩分変化特性"水工学論文集. 第46巻. 899-904 (2001)
-
[Publications] 黒川岳司, 福岡捷二, 五道仁実, 松下智美, 三浦心: "宍道湖における湖内流動と水質変化の特徴"第53回 平成13年度土木学会中国支部研究発表会発表概要集. 225-226 (2001)
-
[Publications] 松下智美, 黒川岳司, 三浦心, 福岡捷二, 五道仁実, 中村幹雄: "連結系汽水湖における流れと水質分布に蘭する研究"第53回 平成13年度土木学会中国支部研究発表会発表概要集. 227-228 (2001)
-
[Publications] 黒川岳司, 福岡捷二, 五道仁実, 松下智美, 三浦心: "宍道湖における湖内流動と水質分布の変化"土木学会第56回年次学術講演会講演概要集 第2部. II-196 (2001)
-
[Publications] 松下智美, 黒川岳司, 三浦心, 福岡捷二, 五道仁実, 中村幹雄: "宍道湖の塩分変化を支配する要因"土木学会第56回年次学術講演会講演概要集 第2部. II-197 (2001)