2001 Fiscal Year Annual Research Report
交通運賃低下における利用者の支払意思評価と誘発需要に関する研究
Project/Area Number |
13750500
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岸 邦宏 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60312386)
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Keywords | 運賃評価 / ロジット型価格感度測定法 / 公共交通 / 意識調査 |
Research Abstract |
本年度は、利用者の交通運賃支払意思評価モデルとして適用している、ロジット型価格感度測定法(Kishi's Logit PSM; KLP)のモデルとしての精緻化、および航空会社の新規参入に伴う利用者の航空運賃に対する支払意思評価の変化について時系列分析を行った。 東京-札幌間の定期航空路線に北海道国際航空(エア・ドゥ)が新規参入し、それまで各社横並びであった航空運賃の価格競争が始まった。それに伴い、利用者も航空運賃の選択の幅が広がった。新規参入前後における運賃に対する評価の変化をみるために、新千歳空港において航空機利用者を対象に意識調査を行った。そのデータを用いて、モデルの精緻化も行った。 分析の結果、利用者の新規参入の前後において、東京-札幌間の航空運賃に対して、利用者に受け入れられる上限価格は業務目的で約2,000円、私用目的で約1,000円下がっており、下限価格は業務目的で約1,000円、私用目的で約1,500円上昇した。実質的に購入できる航空運賃がエア・ドゥの参入により下がったことを受け、さらに下がってほしいという意識が上限価格の低下につながり、一方で下限価格の上昇はエア・ドゥの厳しい経営状況を見て、あまり安すぎても航空会社は健全に経営できないという考えが反映されていると考えられる。 一方で、利用者が値ごろ感を持ち始める「基準価格」の参入前後の変化を見ると、業務目的では約19,000円で103円の変化、私用目的では約18,000円で24円の変化であった。無差別価格はエア・ドゥの参入前後では利用者には変化がなかったといえる。 上限・下限価格は前述の通り社会的状況の変化を受けやすいが、基準価格、つまり値ごろ感を持つ価格は安定しているといえる。このことから、KLPが時系列的にも信頼できる手法であることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)