2002 Fiscal Year Annual Research Report
歴史遺産を核とした持続的な地域風土を育てるための環境計画手法に関する実践的研究
Project/Area Number |
13750567
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
櫻井 一弥 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00323080)
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Keywords | 歴史遺産 / 実践的研究 / 持続性 / 地域環境計画 / 屋外空間と空間特性 / 総合化 / 接続 / 継続 |
Research Abstract |
本年度は、(1)マップ原案の作成とアンケート、(2)住民との共同によるマップ最終案の作成、(3)行政提案、及び(4)地区環境計画案の作成を行った。(1)については、金ケ崎町で古老にヒアリングをしたり、水系の現況を観察して「散歩マップ」や「水系マップ」等をつくり、潜在的な町の個性を確認した。これらを仮想評価法(CVM)等により評価する検討を行ったが、個人的プライバシーに関わる点、CVMが元来外部評価の手法であった点から、同地区でのアンケート実施を断念した。一方で重要比較地区である弘前市で伝建地区の外からみた歴史資源の価値意識調査を行う予定であったことから、こちらで調査を実施した。弘前市民における伝建地区の存在感は期待値には至らなかったが、現在の投資金額よりは高い数字が出た。(2)および(3)については作成したマップを基に、もの/ひと/ことの3位相に留意し、環境づくりを施すべき対象を明らかにしていった。特に商業的観光化と無縁なこの地区においては、真新しいハードの整備を求める声は少なく、高齢化という「ひと」の問題、草取り等の環境管理(=こと)の問題が特に取り沙汰された。つまり地域に欠けているのは単なる施設機能やインフラではなく、もの・ひと・ことを「つなぐ」存在(空間、ひと、情報等)に集約されるのである。このことから、実際の地区環境計画立案においては、キーワードとして「接続/継続」が相応しいという観点に達した。(4)についてはこれまでの軌跡を俯瞰し、キーワードを基に「コミュニテイをつなぐ家並」「防災機能と景観復活を目指す雨水利用」「内外の人物交流を生む文化財活用」等、具体的な計画を立案した。地区への最終提案は3月に予定している。以上、演繹性には幾分欠けたものの、ある程度のリアリティを持った環境計画案が提示できた。また明解な科学的調査手法には至らなかったが、環境計画における着眼点についての重要な知見が得られたと考える。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 大沼正寛, 伊藤邦明, 小田島正仁, 石川慎治, 野村希晶, 櫻井一弥: "伝統的建造物群保存地区における民家の移築・再利用に関する設計指針〜金ケ崎町白糸まちなみ交流館の設計・建設プロセスその1-"日本建築学会技術報告集. 第16号. 235-238 (2002)
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[Publications] 大沼正寛, 高橋文浩, 千葉周秋, 石川慎治, 伊藤邦明, 舛岡和夫, 野村希晶, 菊地良覺, 櫻井一弥, 横山禎徳: "金ケ崎町城内諏訪小路伝統的建造物群保存地区における空間形態の存続を目的とした保存計画"日本建築学会技術報告集. 第16号. 243-248 (2002)
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[Publications] 石川慎治, 坂口雄宏, 大沼正寛, 野村希晶, 櫻井一弥, 伊藤邦明: "弘前市仲町地区における歴史的町並みの環境管理の実態調査"日本建築学会技術報告集. 第16号. 253-256 (2002)
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[Publications] 大沼正寛, 藤倉賢一, 石川慎治, 野村希晶, 櫻井一弥: "東北地方における屋外住環境の構成及び持続方策に関する研究 その 1武家地における屋外空間の基本的構成"日本建築学会学術講演梗概集(北陸). E-2. 6073 (2002)
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[Publications] 藤倉賢一, 大沼正寛, 石川慎治, 野村希晶, 櫻井一弥: "東北地方の武家地における屋外住環境及び持続方策に関する研究 その2 維持管理の実態調査と基礎的考察"日本建築学会学術講演梗概集(北陸). E-2. 6074 (2002)
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[Publications] 石川慎治, 大沼正寛, 野村希晶, 櫻井一弥, 伊藤邦明: "弘前市仲町地区における敷地割の変化について"日本建築学会学術講演梗概集(北陸). E-2. 6075 (2002)