2001 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の視環境問題に関する研究- 加齢に伴う色彩誤認の評価と日常生活行動下での視環境問題の検討 -
Project/Area Number |
13750577
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
原田 昌幸 名古屋大学, 環境学研究科, 助手 (20283393)
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Keywords | 色彩 / 黄変化 / 加齢 / 色空間 / 高齢者 / 視環境 |
Research Abstract |
加齢に伴い目の水晶体が黄変化し、視細胞の密度が低下する。この現象は医学的に調査され、眼の波長透過率特性などのデータは既に得られている。しかし、実際には、生理的なメカニズムとして色順応現象が生じていると考えられ、単に加齢による波長透過率特性の変化を物理的に評価するのでは、黄変化を過度に評価することになり、適切ではない。心理物理量としての黄変化評価のためには、実際の被験者を用いた評価を行う必要がある。そこで、本年度は、まず日常生活下における高齢者の視機能低下に伴う問題点について少人数の高齢者を対象に予備調査を行い、そのデータを参考に心理物理的な黄変化特性をモデル化することを目的として、100色相配列検査器(日本色彩研究所製ND-100Hue test)を用いた被験者実験と、色票を用いた2色間の心理物理的距離を測定する被験者実験を行った。その結果、得られた成果をまとめると以下の通りである。 ・100色相テストの分析指標として、新たに混同量Cとn値という指標を考案し、その有効性を示した。 ・50代以降、B(青)周辺の色相とR(赤)周辺の色相で加齢とともに識別能力が低下する。 ・G(緑)周辺の色相やP(紫)周辺の色相はそれほど識別能力は低下せず、70代であっても20代とそれほど大きくは変わらない。 ・個人差が大きく、中には20代とそれほど違わない高齢者が存在する。 ・全般的な傾向として、若者は色相と彩度を頼りに色を識別しているのに対し、高齢者は明度と志度を頼りに識別していることが推測された。
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